『書方箋 この本、効キマス』の労働関連コラム

2025.04.24 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第109回 『NEXUS 情報の人類史』 ユヴァル・ノア・ハラリ 著、柴田 裕之 訳/濱口 桂一郎 NEW

AIがおかしくする世界  世界中がおかしい。とりわけアメリカがおかしい。おかしいトランプ大統領が世界を振り回している。日本もおかしい。とりわけ大統領型で選ばれる知事や市長がおかしい。これは一体何が起こっているのか? 著者は、その近い原因をAI(人工知能)に、遠い原因を人類が生み出した共同主観に求める。だから本書は、アクチュアルな現代社会論……[続きを読む]

2025.04.17 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第108回 『ブレイクショットの軌跡』 逢坂 冬馬 著/大矢 博子

車を通じて描く現代の闇  以前この欄でも紹介したデビュー作『同志少女よ、敵を撃て』で第二次世界大戦での独ソ戦を、続く『歌われなかった海賊へ』でナチス政権下のドイツを描いた逢坂冬馬。今ではない時代・ここではない場所をあえて描くことで、現代日本に暮らす読者に新たな視座を与えてくれた。  ところが3作目で大きく路線を変えてきたから驚いた。「今」……[続きを読む]

2025.04.10 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第107回 『ヒルビリー・エレジー』 J・D・ヴァンス 著、関根 光宏、山田 文 訳/濱口 桂一郎

反上流階級の根底は…  今年2月、ホワイトハウスに招かれたウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカのトランプ大統領と口論を繰り広げて合意が破談になったが、そのきっかけはヴァンス副大統領の「失礼だ」「感謝しないのか」という発言であった。トランプに輪をかけた暴れん坊っぷりを世界に示したヴァンス副大統領とはどういう人物なのか? それを語る彼自身……[続きを読む]

2025.04.03 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第106回 『忍者の掟』 川上 仁一 著/山田 雄司

修行者のみが分かる嘘  本書は、現代に忍術を伝える甲賀伴党二十一代宗師家・川上仁一氏による自身の体験と、師から伝えられた「忍術」について解き明かした書である。  私が初めて川上氏に会ったのは、2012年に三重大学で忍者研究を開始したことに合わせて、『結Yui』という大学の雑誌の企画で対談したときだった。対談は伊賀の旧沖森邸の和室で行ったの……[続きを読む]

2025.03.27 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第105回 『秘密解除 ロッキード事件』 奥山 俊宏 著/濱口 桂一郎

心中に燻ぶる「虎の尾説」  ロッキード事件と言っても、多くの読者にとっては歴史上の事件だろう。筆者は当時高校生であったが、田中角栄元首相が逮捕されるに至る日々のテレビや新聞の報道は今なお記憶に残っている。田中が逮捕された頃、『中央公論』に田原総一朗の「アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄」というルポが載った。父が買ってきたその雑誌を読んで、ロ……[続きを読む]

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