『書方箋 この本、効キマス』の労働関連コラム

2025.06.12 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第113回 『木戸芸者らん探偵帳』 仲野ワタリ 著/神楽坂 淳 NEW

声色を使い分けて捕物  本書は時代小説には珍しい「木戸芸者もの」である。木戸芸者は、一般にイメージされる芸者ではない。現代で言えば「声優」である。芝居小屋の木戸で、役者の声真似をしながら芝居の名シーンを再現して、呼込みをする仕事だ。さまざまな声色を使い分けるのが特徴の仕事である。  主人公のらんは、16歳でこの仕事に就く。花嫁修業か木戸芸……[続きを読む]

2025.05.29 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第112回 『時間・自己・幻想――東洋哲学と新実在論の出会い』 マルクス・ガブリエル 著/遠藤 ヒツジ

東西で“不変”の見方に差  「哲学界のロックスター」という異名をもち、『なぜ世界は存在しないのか』がベストセラーとなった哲学者、マルクス・ガブリエルによる新著が『時間・自己・幻想――東洋哲学と新実在論の出会い』である。本書はインタビューの書き起こしを通じて、マルクスが提唱するテーゼと東洋哲学の密接な点を紐解いている。会話調で進むため、最先……[続きを読む]

2025.05.22 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第111回 『転職の魔王様3.0』 額賀 澪 著/大矢 博子

優良企業で離職増のナゼ  GW明けに退職者急増というニュースがあった。しかも新卒者の割合が高いという。  会社を辞めたい理由は人それぞれだろうが、新卒の場合は概ね似た理由なのではないだろうか。簡単に言って「思っていたのと違う」だ。  このニュースを聞いたときに思い出したのが額賀澪『転職の魔王様』シリーズである。ドラマ化されたのでご存じの人……[続きを読む]

2025.05.01 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第110回 『松浦武四郎 入門:幕末の探検家』 山本 命 著/吉田 修

蝦夷を記録した“兼業者”  松浦武四郎は、16歳で故郷伊勢を離れ、日本を隈なく歩き、唐・天竺まで渡ろうと志を立てた。その後、ロシアの脅威を知るに至り、蝦夷島に渡り、原野に分け入り、樺太にまで足跡を残し、その克明な記録を世に紹介した。北海道の名付け親としても知られている。著者の山本命氏は、三重県松阪市にある松浦武四郎記念館の館長である。  ……[続きを読む]

2025.04.24 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第109回 『NEXUS 情報の人類史』 ユヴァル・ノア・ハラリ 著、柴田 裕之 訳/濱口 桂一郎

AIがおかしくする世界  世界中がおかしい。とりわけアメリカがおかしい。おかしいトランプ大統領が世界を振り回している。日本もおかしい。とりわけ大統領型で選ばれる知事や市長がおかしい。これは一体何が起こっているのか? 著者は、その近い原因をAI(人工知能)に、遠い原因を人類が生み出した共同主観に求める。だから本書は、アクチュアルな現代社会論……[続きを読む]

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。