『書方箋 この本、効キマス』の労働関連コラム

2025.07.24 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第118回 『テクノ封建制』 ヤニス・バルファキス 著/濱口 桂一郎 NEW

デジタル領主が権力駆使  著者はギリシャの政治家・学者で、経済危機時に財務大臣になり、債務帳消しを主張したことで有名だ。本書の語り相手に設定されている父親譲りの左翼で、資本主義がやがて社会主義にとって代わられることを夢見ていた。ところがあに図らんや、とって代わったのは社会主義ではなくテクノ封建制であった。  テクノ封建制とは何か。資本主義……[続きを読む]

2025.07.17 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第117回 『ババヤガの夜』 王谷 晶 著/大矢 博子

ヤクザ小説の女性像覆す  今月4日、日本文壇に嬉しいニュースが届いた。世界最高峰のミステリー文学賞と言われるイギリスのダガー賞・翻訳部門を、王谷晶『ババヤガの夜』が受賞したのだ。  前年1年間にイギリスで英語翻訳出版されたミステリー小説の中から最も優れた作品に贈られる賞である。日本人作家が受賞するのは史上初、アジアでもふたりめという快挙だ……[続きを読む]

2025.07.10 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第116回 『メンターになる人、老害になる人。』前田 康二郎 著/内田 賢

相手への敬意が分かれ道  大手機械メーカーの総務部長を役職定年で退いたK氏は「部長でなくなったら、いろんな人間が相談に来るようになった」と話してくれた。ざっくばらんな方なので部長在任中もいつでも相談に乗ってくれた人であろうが、業務時間中に若いヒラ社員が課長を飛び越して、また、他部門の課長が直属の部長に断りなくK部長に相談に来るのは憚られた……[続きを読む]

2025.07.03 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第115回 『「モディ化」するインド』 湊 一樹 著/濱口 桂一郎

中国並みの情報統制進む  インドといえば、我われ日本人には偉大なガンディーが作った国…というイメージが強い。「ガンディーが助走をつけて殴るレベル」というネットスラングも、非暴力主義でインドの独立を果たしたガンディーの高潔さを前提としている。そのガンディーを暗殺した右翼結社の民族奉仕団(RSS)で頭角を現し、グジャラート州知事として「実績」……[続きを読む]

2025.06.26 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第114回 『我、演ず』 赤神 諒 著/大矢 博子

戦国生き抜く「負け上手」  人生も仕事も連戦連勝、であればさぞかし気持ちが良いだろうが、そんなことはあり得ない。頑張っても負けることはあるし、戦う前から負けが見えていることも少なくない。時には、敢えて負ける方が賢いというケースもある。  つまり問題は「負け方」なのだ。どんなふうに負けるかでその後が決まる。その鮮やかな負け方を見せてくれるの……[続きを読む]

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