経営者のメンターとして/社会保険労務士松本事務所 代表 松本 明弘
平成19年6月に富山市で事務所を開設して、早7年目になる。
開業以来、主な業務として、①労務管理の基盤というべき就業規則の作成、②人材育成につなげる人事制度の構築、③多種多様な労務相談に対する助言、④各種手続きを4つの柱として、現在、私と2人のスタッフで業務を行っている。なかでも、健全な組織を作り、組織の活性化をサポートするという視点に立って、就業規則の作成と人事制度の構築に力を注いできた。
開業して日が浅い頃は、「労務管理はこうあるべきだ」「就業規則はこのようにすべきだ」といった独りよがりな思いが少なからずあり、使命感が空回りしているときもあった。確かに、労務管理を徹底することで、労務トラブルといった会社のリスクを回避する、または少なくできることもあるが、かえってよそよそしい空気につつまれ、結果として会社内が「事なかれ主義」に陥ることもある。
労務トラブルの要因を探ると、組織内のコミュニケーション不足による信頼関係の崩壊に端を発していることが多いと実感している。「何のために会社を作ったのか」「働くとはどういうことか」「お客様に対して我われは何ができるのか」経営者の思いや仕事の価値観を従業員に浸透させることが、会社が掲げる目的や目標に向かうための第一歩ではないかと思う。
就業規則は、コンプライアンス上において必須アイテムだが、経営者の思いや仕事に対する価値観を従業員に浸透させるための手段として、就業規則に期待する経営者が近年ますます増えている。さらに、人事制度に至っては、昇給や賞与を決めるための人事考課から「人材を人財に成長させる羅針盤」としての制度構築がスタンダードになりつつある。「良い人財が採用できない」と嘆くよりも「いかに良い人財に育てるか」という視点で試行錯誤すれば、そのプロセスそのものが組織活性化へとつながるだろう。
社会保険労務士として、専門知識を活かした助言者としての対応が問われるとともに、経営者の良き理解者、そして支援者(メンター)としての役割が大きくなってきている。私自身、まだまだ道半ばだが、メンターとして「縁の下の力持ち」的役割を一歩一歩果たしていきたい。
社会保険労務士松本事務所 代表 松本 明弘【富山】
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