【助成金の解説】働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金/岡 佳伸

2022.10.22 【助成金の解説】
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2023年から中小企業も適用!60時間超、時間外労働割増賃金率変更に対応しよう!

時間外労働の割増賃金率の引き上げ

 時間外労働においてポイントとなる数字が2点あります。その1つは月の上限である45時間です。2020年4月(大企業は2019年4月~)より時間外労働の上限規制が罰則付きで設けられました。これは36協定と特別条項を締結し届け出ることで、時間外労働と休日労働を合わせて「単月100時間未満」「複数月平均80時間以内」とすることができます。

 2点目のポイントは60時間です。時間外労働の割増賃金率は現在、中小企業は25%ですが2023年4月1日より、月60時間を超える時間外労働分について50%に引き上げられます。つまり、月75時間の時間外労働を行った労働者がいた場合、60時間分については25%の割増賃金と15時間分については50%の割増賃金を支払う必要があります。2023年4月1日から労働させた時間について、割増賃金の引き上げ対象となります。

 ※大企業は2010年4月から60時間超える時間外労働の割増賃金率が50%に引き上げられています。

厚労省リーフレットより

 時間外労働の割増賃金率と深夜労働(22:00~5:00)の割増賃金率は加算されますので月60時間を超える時間外労働を深夜時間帯に行わせる場合、割増率は次のように計算されます。

 ・月60時間超時間外割増率50%+深夜労働割増率25%=75%

 なお、法定休日に労働させた場合の割増賃金率は35%ですが、月60時間の時間外労働時間の算定に法定休日に行った労働時間は含まれません。そのため法定休日に労働を行い、それが60時間超の労働時間だったとしても、その部分の割増賃金率は35%です。

 経営者・担当者の方が割増賃金率引上げに備えて準備することとして、就業規則の改訂があります。厚生労働省が公開している「モデル就業規則」などを参考に、該当箇所を確認してみてください。

(割増賃金)
第〇条 時間外労働に対する割増賃金は、次の割増賃金率に基づき、次項の計算方法により支給する
(1)1カ月の時間外労働の時間数に応じた割増賃金率は、次のとおりとする。この場合の1カ月は毎月〇日を起算日とする。
① 時間外労働60時間以下…25%
② 時間外労働60時間超え…50%
(以下、略)

代替え休暇の取得

厚労省リーフレットより

 月60時間を超える時間外労働を行った労働者の健康を確保するため引き上げ分の割増賃金の支払の代わりに有給の休暇である代替休暇を付与することができます。この代替休暇制度を導入する場合は下記の事項を定めた労使協定を結ぶことが必要です。

① 代替休暇の時間数の具体的な算定方法
② 代替休暇の単位
③ 代替休暇を与えることができる期間
④ 代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日

 ※この労使協定は事業場において代替休暇の制度を設けることを可能にするものであり、個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務づけるものではありません。個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思により決定されます。当初は代替休暇の付与を希望していた労働者が実際に取得できなかった場合、割増賃金を支払う必要があります。

 代替休暇を付与する場合でも、あくまで引き上げ分の割増賃金支払の代わりですので、そうでない元々の賃金と25%の割増分については支払わなければなりません。また、代替休暇を与えることができる期間として、時間外労働が月60時間を超えた月の末日の翌日から2カ月間以内の期間で与えることとされています。つまり10月の時間外労働が60時間を超えた場合には10月末日の翌日である11月1日から2カ月間以内ですので12月31日までに代替休暇を与えなければなりません。

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