【助成金の解説】働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)/岡 佳伸

2023.07.29 【助成金の解説】
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2024年問題に対応

 働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)は、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用される建設業、運送業、病院等、砂糖製造業といった業種に対して、生産性を向上させ、時間外労働の削減や週休2日制の推進などの取組みを行う中小企業事業主に対して支給される助成金です。このコースでは、以下のような取組みが支給対象となります。

・労務管理担当者や労働者に対する研修
・外部専門家によるコンサルティング
・就業規則や労使協定の作成・変更
・人材確保に向けた取組み
・労務管理用ソフトウェアや機器の導入・更新
・デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
・労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

 これらの取組みは、以下の「成果目標」のうち1つ以上を選択し、その達成を目指して実施する必要があります。

・時間外・休日労働時間数を月60時間以下または月80時間以下に設定すること
・所定休日を4週5休から4週8休以上に増加させること
・9時間以上の勤務間インターバル制度を新たに導入すること
・医師の働き方改革推進に関する取り組み(労務管理体制の構築や医師の労働時間の実態把握と管理)を行うこと

 また、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%以上行うことも成果目標に加えることができます。支給額は、取り組みの実施に要した経費の一部であり、成果目標の達成状況に応じて変わります。

支給額

 取組の実施に要した経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給します。
以下のいずれか低い方の額
(1)成果目標1から4の上限額および賃金加算額の合計額
(2)対象経費の合計額×補助率3/4(※)
(※)常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取組で6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5

【(1)の上限額】

○成果目標1(1)達成時の上限額

○成果目標1(2)達成時の上限額

○成果目標2達成時の上限額:1日増加ごとに25万円(最大で100万円まで)

○成果目標3達成時の上限額

(※)事業実施計画において指定した事業場に導入する勤務間インターバルの休息時間のうち、最も短いものを指します。

○成果目標4達成時の上限額:50万円

賃金額の引上げを成果目標に加えた場合の加算額は、指定した労働者の賃金引上げ数の合計に応じて、次の表のとおり、上記上限額に加算する。なお、引き上げ人数は30人を上限とする。

(常時使用する労働者数が30人を超える中小企業事業主の場合)

(常時使用する労働者数が30人以下の中小企業事業主の場合)

受給のポイント

① 交付申請時点で、常時10人以上の労働者を使用する対象事業場については、交付申請時点で、労働基準法第39条第7項に基づく、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載が必要になります。(就業規則に各労働者の年次有給休暇5日取得義務に対応した文例が必要です)、常時10人未満の労働者を使用する対象事業場においては、労働基準法施行規則第24条の7に基づく時季、日数及び基準日を明らかにした書類を作成していることでも足ります(就業規則で規定されている場合も対象です)。
② 交付申請期限が令和5年11月30日迄とされています。ただし、予算の都合により締切り期限が早まる場合があります。
③ 提出代行や事務代理を行う社会保険労務士等は各種の取組を行うことが出来ません。相見積もりの相手方になることも同様に出来ません。
④ 上限額の引上げのための賃金加算については、最低賃金上昇時に行っても問題有りません。また、業務改善助成金の賃金上げ対象と重複しても問題ありません。
⑤ 交付決定前に取組に関する行為は出来ません。見積もりの取得までとなります。
⑥ 労働時間設定改善委員会等の議事録提出が必要になります。(ひな形の提出は禁止されています)各事業場の実態に併せて討議する必要があり、開催時の写真の提出も求められます。Zoom等のWEB会議でも問題ありませんが、後でログや録画の提出を求められることがあります。メールやチャット等の文字だけの開催では要件を満たせません。
⑦ 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新については、時間工数の改善等具体的な指標で導入の必要性が分かる必要があります。

おすすめポイント

 働き方改革推進支援助成金の他のコースよりも高額・高率な助成金額となっています。適用猶予業種等対応コースは2023年度今年度限りのコースと考えられるため、受給できる要件を満たすのであれば是非支給申請したいコースになります。

相談先

各労働局


筆者:岡 佳伸(特定社会保険労務士 社会保険労務士法人岡佳伸事務所代表)

大手人材派遣会社などで人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活躍。
日経新聞、女性セブン等に取材記事掲載及びNHKあさイチ出演(2020年12月21日)、キャリアコンサルタント

【webサイトはこちら】
https://oka-sr.jp

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