【主張】退職コンサルで信用失墜

2016.05.30 【社説】
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 今通常国会における雇用保険法等改正案の審議過程で、職業紹介事業者の「退職コンサルティング」が大きな問題となった。厚生労働省では、この指摘を受けて通達の発出に続き、大臣告示を改正して、防止対策の強化を図った(本紙5月16日号1面既報)。

 リストラなどで離職する労働者に出向先や再就職先をあっせんする再就職支援を逆手にとって、自由意思に反した退職強要により不必要に離職を拡大させ、揚げ句の果てには依頼企業が助成金を受け取るというマッチポンプが指弾された。

 退職コンサルタントを行った職業紹介事業者はもちろん一部と信じたいが、業界のコンプライアンスが疑われ、信頼を大きく損ねる結果となった。業界全体の問題と捉え、自浄作用を通じた汚名返上に全力を上げてもらいたい。厚労省は、通常の再就職支援と退職コンサルタントとの間に明確な線引きをして、予見性を高める手立てをさらに強化すべきである。

 衆議院の審議では、一般企業と職業紹介事業者による再就職支援の暗部が浮き彫りとなった。たとえば、部下の労働者に対し自らの次の職探しを命令し、これがみつからないと業務能力がないとなじり、最後には解雇するといったケースである。こうした「業務命令」が、退職コンサルティングの一環として実施されていたという。

 塩崎厚生労働大臣は、「自分の再就職先を探せ」という命令は、人事権濫用であり明らかに不適切であるなどと答弁。併せて職業紹介事業者6社を指導したと述べている。経団連など使用者団体に対しては、職業紹介事業者から退職勧奨実施に関する提案を受けないよう釘を刺した。

 労働移動支援助成金は、過度な雇用維持から成長産業への円滑な労働移動を重視する近年の政策転換のなかで、利用が進んでいるが、マッチポンプの退職コンサルタントに支払われているとすれば、到底納得がいかない。

 企業が自ら実施する退職勧奨は、特別に規制する法令はなく合意を得れば問題はないが、職業紹介事業者がこれに手を出すのは趣旨に反する。

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    平成28年5月30日第3066号2面 掲載

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