【道しるべ】職長力 災害防止へパワーアップを

2013.03.15 【社説】

 小社の出版物に『職長の能力向上のために』と題したテキストがある。建設労務安全研究会・教育委員会の研究成果を製本化したもので、2007年に発行して以来、再教育に最適との評価を得て現在も購読申込みが絶えない。

 「職長歴5年~10年のベテランにいっそうのレベルアップを図ってもらう」ことを目的として編纂された教本は、新任時に受けた教育内容の再確認をベースに、現場のキーマンとして陣頭に立つうえで必須の専門知識とノウハウを最近の状況と照らし合わせながら解説しているところに特長がある。再教育重視の背景には、職長業務が年々範囲を広げるなかで、これを消化・遂行しきれない傾向が生じていることへの問題意識があったとも聞くが、その種の悩みへのアドバイスや解決方法もこの本には収められている。

 それを参考に職長(監督者)に課される役割とか職務を再見してみると、安全に関わる事項だけでも実に多い。ざっと挙げても作業手順作成、作業方法改善、労働者の適正配置、部下の教育・指導、安全衛生点検、リスクアセスメント(危険性・有害性の調査および結果に基づく対応)などがあり、異常時・災害発生時の措置についても心得ておかなければならない。その上で作業者個々人のヒューマンエラーやメンタルヘルスにも注意の目を配り、一人ひとりとのコミュニケーションを密にしながら労災防止への意識を高め、統率力をもって安全衛生確保へのベクトルをひとつにまとめていくことが求められている。また、事業場のトップや上司に意見・提案を行うことも〝優良な職長〟の要件とされている。

 これらを十全にこなすというのは容易でない。権限に制約があれば、出来ることにも限界があったりする。しかし、期待され要求されることが多いにしても、それに応える職長の存在なくしては現場の運営ははかいかない。安全に限らず品質、コスト、工程のどの場合においてもである。そうした重責を果たすエネルギー(=職長力)の衰えによって実務機能を果たせない状態に陥れば、現場の生産力に大きな影響を及ぼして低下をきたし、その間隙を突くように事故災害発生のポテンシャルが高まる。

 であれば、どの職場であれ職長力の実情把握(レベルチェック)と力量向上のための教育が一定間隔で実施されるべきであって、それが今後とも災害防止のキーポイントとしていっそう重要性を増すように思われる。これと並行して、業務に見合った権限の付与、仕事をしやすくするサポート態勢などの検討が必要なのは言うまでもない。

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掲載 : 安全スタッフ 平成25年3月15日第2182号

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