【主張】反旗ひるがえした組合員

2018.10.04 【社説】
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 労働組合員が、所属していた労働組合の不作為により損害が生じたとして提訴する「労々紛争」が発生した(本紙9月3日号4面に詳細)。組合員個人で工面した弁護士費用や精神的苦痛による慰謝料を請求したもので、千葉地裁の判決次第では労働組合側に一定の足カセが生じかねない。労働組合組織率が低下の一途をたどるなか、組合員の声に耳を傾けない労働組合が存在するとなれば、自滅の道を歩んでいるとしかいいようがない。

 警備員である原告の組合員は、昨年、仮眠時間に賃金が支払われていないとして会社を提訴、その結果、約3000人分に対する賃金支払い義務が認められた。金額にすると合計約20億円に上る。その後、組合員は労働組合を相手に提訴し、会社を提訴した際の裁判費用や妨害行為による慰謝料の支払いを求めた。

 労働組合側では、組合員の方が労働組合の関与を嫌う素振りを見せたとして積極的関与を控えたと主張している。一方で組合員は、権利実現のために一緒に行動してほしいと相談したにもかかわらず対応してもらえなかったと、見方が食い違っている。組合員はその時、労働組合が「会社と一体化している」との印象を持ったという。

 千葉地裁が結果的にどちらの主張を認めるかは定かではないが、仮に組合員の主張が通れば、労働組合として何らかの対応が迫られる。少数意見などとして個々の組合員の声を聞き入れず、何ら手を打たなかったことにより損害が生じた場合、その不作為に責任が生じてしまう。

 わが国の労働組合組織率は、長期低落傾向にあり、労働組合の存在感が薄れつつあるのが実情である。個々の組合員の声を拾って、糾合する努力を怠っていては、先細りは免れない。弱体化すると往々にして労々紛争が生じる危険性も高まろう。

 労働組合執行部は、今回の訴訟事件の結果にかかわらず、個々の組合員に対して真摯に対応して信頼を取り戻してほしい。組合員が労働組合に反感を抱いているなら、なおさらこの事態をしっかり受け止めるべきである。

平成30年10月8日第3179号2面 掲載

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