労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令等の施行について(外国登録製造時等検査機関等、受動喫煙の防止及び特別安全衛生改善計画関係)

2015.05.15 基発0515第1号 【労働安全衛生法】
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第3 細部事項(労働安全衛生規則関係)

1 法第78条第1項の「厚生労働省令で定める重大な労働災害」(第84条第1項関係)

(1) 第2号の「生じるおそれのあるもの」については、事業者が発生させた重大な労働災害についての再発防止対策を速やかに行う必要性に鑑み、労働者災害補償保険法施行規則別表第1の障害等級第1級から第7級までのいずれかに該当する障害が生じたものとして労災認定がなされたもののほか、労働災害が発生した時点において、労働災害の負傷等の程度から、障害等級第1級から第7級までのいずれかに該当する障害を生じるおそれがあると判断されるものを含むこととしたものであること。

具体的には、事業者より提出のあった労働者死傷病報告書又は災害調査の結果等において、障害等級第1級から第7級までの障害を生じるおそれのある労働災害に該当するか否かを判断するものであること。

(2) (1)において、労働災害が発生した時点において、その負傷等の程度から、障害を生じるおそれがあるか否かが判断できないものは、当該時点においては重大な労働災害には該当しないものであること。ただし、その後の労災認定において障害等級第7級以上であることが確定した場合には、重大な労働災害に該当するものであり、この場合、第84条第2項第1号の「重大な労働災害を発生させた日」とは、当該労災認定がなされた日ではなく、当該重大な労働災害が発生した日として取り扱うこと。

なお、例えば、重大な労働災害が遅発性の疾病である場合は、診断によって当該疾病にかかったことが確定した日を、当該負傷又は疾病が原因で死亡した場合には、負傷した日又は診断によって疾病にかかったことが確定した日を、それぞれ「重大な労働災害が発生させた日」とする。

(3) 本制度における「重大な労働災害」については、改正法の施行日以降に発生したものを対象とし、施行日以前に発生したものは対象とならないものであること。

2 法第78条第1項の「厚生労働省令で定める場合」(第84条第2項関係)

(1) 第1号の「当該重大な労働災害が発生した事業場以外の事業場」とは、重大な労働災害を発生させた企業(事業者)の事業場のうち、当該重大な労働災害を発生させた事業場以外の事業場を指すものであること。このため、同一事業場で重大な労働災害を繰り返し発生させた場合は含まないこと。

なお、同一事業場で重大な労働災害を繰り返し発生させた場合は、従前のとおり、法第79条に基づく都道府県労働局長による安全衛生改善計画の作成指示の対象事業場となり得るものであること。

また、ここでいう「事業場」は、建設現場については、現場事務所があって、当該現場において労務管理が一体として行われている場合を除き、直近上位の機構をいうこと。

重大な労働災害を発生させた企業の合併や分社化があった場合であっても、企業の安全衛生管理体制が継続され、重大な労働災害を発生させた事業場の事業も承継会社として継続している場合であって、継承後も継承前と同様の重大な労働災害を繰り返し発生させている場合は、同一企業において発生した重大な労働災害として取り扱うものとすること。

(2) 第1号の「当該重大な労働災害と再発を防止するための措置が同様である重大な労働災害」とは、原則として、重大な労働災害の原因となった起因物(小分類)と事故の型が同じである場合とすること。ただし、これを原則としつつも、改正法の趣旨が同一企業内における重大な労働災害の再発防止であることから、事業者が発生させた複数の事業場における重大な労働災害について、必要となる再発防止対策が同様であり、当該対策を企業内で水平展開することが、企業内の他の事業場における同様の災害防止に有効であるものについては、「当該重大な労働災害と再発を防止するための措置が同様である重大な労働災害」に該当するか否かについて、個別に判断するものとすること。

(3) 第2号では、関係法令の規定に違反して発生させたものであることが要件とされているが、本制度が、重大な労働災害の再発を防止するため、当該企業における安全又は衛生の改善を図るものであることから、関係法令には労働安全衛生関係法令のほか、労働基準法及びこれに基づく命令の規定のうち、年少者等に対する危険有害業務に係る規定等の安全又は衛生に係るものについても含めるものであること。具体的には、次に掲げる規定の違反が対象となること。

・ 労働基準法第36条第1項ただし書及び労働基準法施行規則第18条

・ 労働基準法第62条並びに年少者労働基準規則第7条及び第8条

・ 労働基準法第63条

・ 労働基準法第64条の2及び女性労働基準規則第1条

・ 労働基準法第64条の3及び女性労働基準規則第2条及び第3条

(4) 第2号の「違反して発生させたものである場合」とは、重大な労働災害が本号で列記した関係法令の規定に違反して発生させたものである場合をいうこと。よって、労働災害が発生した事業場で確認された、重大な労働災害の発生とは関連しない法令違反は含まれないこと。また、例えば、法第28条の2に基づく危険性又は有害性等の調査等の措置のような事業者の努力義務の措置が定められている規定は、含まないものであること。

(5) 法では、基本的に事業者の労働災害防止のための措置義務が規定されているが、法第31条の規定など、一部、関係請負人の労働者を含めた労働災害防止の措置として、元方事業者等に措置義務を定めた規定がある。例えば、関係請負人の事業者が実施すべきとされておらず、元方事業者等が自ら実施すべき措置に係る関係法令の違反が原因となって重大な労働災害が発生したときには、被災者が、自らの使用する労働者ではなく関係請負人の労働者であった場合でも、当該元方事業者等が再発防止のための措置を講ずべきものであることから、当該元方事業者等により発生させた重大な労働災害として取り扱うものであること。

(6) 本制度の趣旨は、同様の重大な労働災害の再発を防止するため、必要な対策を企業(事業者)の関係事業場に水平展開することにあるため、例えば、特別安全衛生改善計画の作成対象であることが当該重大な労働災害の発生日から一定の時間を経過後に判明した企業について、その計画の作成指示を行う段階において、既に企業の全社的な再発防止対策が実施されていることが確認された場合又は再発防止対策の対象となる作業が全て廃止されている場合などについては、当該計画の作成の指示は行わないものであること。

3 特別安全衛生改善計画指示書(第84条第3項関係)

特別安全衛生改善計画作成指示書(様式第19号)に記載する計画の提出期限については、事業者が発生させた重大な労働災害の態様、必要となる計画の範囲等を勘案し、厚生労働大臣が個別に設定するものであること。

4 特別安全衛生改善計画の記載事項(第84条第4項関係)

(1) 特別安全衛生改善計画の提出は、当該事業者の本社事業場を管轄する都道府県労働局労働基準部健康安全主務課を経由して厚生労働大臣に提出されるものであること。

(2) 第2号の「計画の対象とする事業場」とは、重大な労働災害が発生した事業場と同様の作業が存在する等、同様の労働災害が発生する可能性のある全ての事業場であること。

5 特別安全衛生改善計画の変更の指示等(第84条の2関係)

(1) 第1項の特別安全衛生改善計画の変更の指示を行う場合としては、当該計画が発生させた重大な労働災害の原因に対応した対策の内容になっていないとき、当該計画の対象が重大な労働災害の発生した事業場のみに止まっており、他の関連する事業場で同様の労働災害の発生を防止するものになっていないときが含まれること。

(2) 特別安全衛生改善計画変更指示書(様式第19号の2)に記載する当該計画の提出期限については、3と同様であること。

6 勧告・公表(法第78条第5項及び第6項関係)

勧告・公表の手続きについては、改正法に規定されたところであるが、詳細は次のとおりであること。

(1) 法第78条第5項の厚生労働大臣による勧告は、3の特別安全衛生改善計画作成指示書又は5の特別安全衛生改善計画変更指示書による指示を受けたにもかかわらず計画を提出しない場合や特別安全衛生改善計画を守っていないと認められる場合において、重大な労働災害が再発するおそれがあると認められるときに対象となるものであること。

(2) (1)の勧告において示された必要な措置をとることに着手しない場合は、法第78条第6項の公表の対象となること。

(3) 法第78条第6項に規定する公表については、企業の名称及び本社事業場の所在地、発生させた重大な労働災害の概要、公表するに至った事由について行うものであること。

7 その他

本制度における「重大な労働災害」については、1のとおりであるが、従来より一度に3名以上が被災する労働災害を「重大災害」と定義していたものとは異なるものであることに注意すること。

第4 その他

Ⅰ その他関係省令の改正(改正省令第3条から第6条まで関係)

産業安全専門官及び労働衛生専門官規程(昭和47年労働省令第46号)及び作業環境測定法施行規則(昭和50年労働省令第20号)について、所要の改正を行ったこと。

Ⅱ 様式に関する経過措置(改正省令附則第3項関係)

改正前の規則第84条の規定による安全衛生改善計画作成指示書並びに第95条の3及び第95条の3の2の規定による証票並びに改正前の産業安全専門官及び労働衛生専門官規程第5条の規定による証票は、当分の間、それぞれ、改正後の規則第84条の3の規定による安全衛生改善計画作成指示書並びに第95条の3及び第95条の3の2の規定による証票並びに改正後の産業安全専門官及び労働衛生専門官規程第5条の規定による証票とみなすものとしたこと。

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