「労災就学援護費の支給について」(昭和45年基発第774号)の一部改正について

2022.03.31 基発0331第27号 【労働者災害補償保険法】
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改正後全文(改正部分は傍線部分)

基発第774号
昭和45年10月27日
改正 基発0331第27号
令和4年3月31日

各都道府県労働基準局長 殿

厚生労働省労働基準局長

労災就学援護費の支給について

今般、別添「労災就学援護費支給要綱」により、労災就学援護費の支給を昭和45年11月1日から行うこととしたので、下記によりこれらが事務処理について遺漏なきを期されたい。なお、労災就学援護費の支給に関連して、労働者災害補償保険特別会計法施行令の一部を改正する政令(昭和45年9月22日政令第268号)の制定が行われ、労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令及び労働大臣が定める事務に関する告示の制定が行われる予定であるので申し添える。

1 趣旨

労災就学援護費(以下「援護費」という。)は、昭和44年8月27日、労働者災害補償保険審議会から労働大臣あてなされた「労働者災害補償保険制度の改善についての建議」における「重度障害者及び労災遺児に対する援護施設の拡充改善等について検討」すべき旨の指摘をうけて、各種調査等による死亡労働者の子弟の就学状況の実態及び遺家族等の要望並びに国家公務員、地方公務員に類似の制度が設けられていることなどを勘案して、労働者災害補償保険法(以下「法」という。)第29条第1項の社会復帰促進等事業として設けられたものであり、労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第70号)により労働者災害補償保険法施行規則(昭和30年労働省令第22号)第33条に規定されているものである。

したがって、援護費は、他の育英制度による奨学金と異なり、その支給要件をみたす者で申請のあったものに支給されるものであり、返還を要しないものである。

2 支給対象

(1) 援護費の支給を受ける者は、「労災就学等援護費支給要綱」(以下「要綱」という。)3に掲げる者である。

(2) 援護費の支給を受けることができる者は、その者の受ける遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金に係る給付基礎日額が要綱3の(1)ただし書に規定する額以下の者である。

この理由は、援護費が社会復帰促進等事業であることから、その支給対象を援護を必要とする者に限ったことにある。すなわち、法第8条の3第1項の年金給付基礎日額が要綱3の(1)ただし書に規定する額を超える者については、その年金たる保険給付の額と厚生年金保険等の給付の額の合計額が、おおむね一般労働者の平均的な給与額を超えることとなるので、このような者については、支給の対象とはしないこととした。

(3)(2)に該当する者であっても、「学資の支弁が困難であると認められるもの」でなければ、援護費の支給を受けることができる者となれない。ここで「学資の支弁が困難であると認められる」とは、障害者、遺族又は長期傷病者が主として労働者災害補償保険の年金たる保険給付及び厚生年金保険等の給付で生活せざるを得ないような場合をいう。したがって、(2)に該当する者であっても、たとえば労働者の死亡等に伴う損害賠償金等の所得(実収見込)が6,000万円を超えるような場合は、原則として学資の支弁が困難であるとは認められない。しかしながら、援護費の支給にあたっては、特に支給を受ける者の所得調査を行う必要はなく、保険給付の支給決定にあたって了知しえた限度で、学資の支弁が困難であるかどうかを判断すればよい。

(4)イ 援護費は、在学者等がある場合に限って支給するものである。

ロ 幼稚園以外の学校教育法第1条(昭和22年法律第26号)に定める学校とは、次のものをいう。

(イ) 小学校

(ロ) 中学校(いわゆる夜間中学校は学校教育法第1条の学校ではないが、援護費の支給に関しては中学校として扱うものとする。)

(ハ) 義務教育学校(援護費の支給に関しては、義務教育学校の前期課程については小学校、後期課程については中学校として扱うものとする。)

(ニ) 高等学校(定時制課程並びに専攻科及び別科を含む。)

(ホ) 中等教育学校(援護費の支給に関しては、中等教育学校の前期課程については中学校、後期課程については高等学校として扱うものとする。)

(ヘ) 特別支援学校(幼稚部を除く。援護費の支給に関しては、小学部は小学校、中学部は中学校、高等部は高等学校として扱うものとする。)

(ト) 大学(夜間学部、専攻科及び別科並びに短期大学、専門職大学、専門職短期大学、大学院及び専門職大学院及び大学院を含む。)

(チ) 高等専門学校(専攻科を含む。)

ハ したがって、各種学校に在学している者にあっては、それが職業教育を目的としている者であっても、その者に関しては援護費は支給しない。

(5)要綱3の(1)イ支給対象者には、遺族補償年金の受給権者ではあったが、18歳になったことにより遺族補償年金の受給権を失った者は含まれない。ただし、この者が要綱3の(1)ロの在学者に該当すれば(たとえば、受給権者であった死亡労働者の子が18歳になったことにより失権しても、その兄弟姉妹又は死亡労働者の父母が受給権者となり、その子が当該受給権者と生計を同じくしつつなお在学中の場合など)、引き続きその在学者に関する援護費は要綱3の(1)ロの支給対象者に支給される。

(6) 要綱3の(1)イ支給対象者における「普通職業訓練に準ずるもの」とは、職業能力開発促進法施行規則(昭和44年労働省令第24号)第10条第1号、第4号及び第5号ただし書きに規定する対象者、期間及び時間等を満たすものとする。

(7)要綱3の(1)ロの在学者等には、18歳になったことにより遺族補償年金の受給権又は受給資格を失った者であって、遺族補償年金受給権者と生計を同じくする高等学校、盲学校等の高等部、高等専門学校又は大学に在学する者も含まれる。

(8)要綱3の(1)ロ、ニ及びホの「生計を同じくしている」かどうかの判断は、法別表第1の遺族補償年金の項の「生計を同じくしている」の判断と同じ基準による。

(9)要綱3の(1)ハ、ニ及びホの在学者等については、要綱3の(1)ロの在学者等と同様、年齢の制限はない。

(10)援護費は、年金たる保険給付の支給事由が発生した時に在学者等がなかったが、その後子供が小学校に入学する等の事情によって支給申請があれば支給することとする。

3 支給額

(1) 援護費の額は、文部科学省調査による「子どもの学習費調査」、日本学生支援機構の奨学金の額その他を勘案して定めたものである。

(2) 在学者等が日本学生支援機構の奨学金を受ける場合や、他の奨学金制度の奨学金を受ける場合であっても、この援護費は、減額することはしない。

(3) 在学者等に対する援護費の額は、要綱4による。

(4) 2以上の学校に同時に在学する者に係る援護費の額は、要綱4に掲げる額のうちいずれか有利な額とする。

4 支給期間

(1) 援護費の支給は、年金たる保険給付と同じく月単位で行ない日割計算等は行わない。

(2) 援護費の支給期間は、援護費を支給すべき事由が生じた月から支給すべき事由の消滅した月までであるが、遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由があることを基礎としているので、これらの年金たる保険給付が支給されない次の場合は援護費も支給されない。

イ 遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金を支給すべき事由が発生した月

ロ 遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金を支給すべき事由が消滅した月の翌月以降の月

ハ 法第16条の5第1項の規定により遺族補償年金の受給権者の所在が不明になったことにより遺族補償年金の支給を停止された期間

二 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和40年改正法)附則第43条第3項の規定による若年停止の期間

(3) 要綱5の(1)イの「労災就学援護費を支給すべき事由が生じた月」とは、要綱3の(1)イ~ホに掲げる者に該当するに至った日の属する月(その者が受けるべき遺族補償年金、障害補償年金又は傷病補償年金に係る年金給付基礎日額が、同日において16,000円を超えており、同日後16,000円以下となった場合にあっては、当該16,000円以下となった日の属する月)とする。

(4) 要綱5(1)イの「通常の修業年限」とは次のとおりである。

イ 小学校                       6年

ロ 中学校                       3年

ハ 高等学校

(イ) 全日制課程                    3年

(ロ) 定時制課程及び通信制課程             4年

(ハ) 専修学校(一般課程又は普通課程)         3年

二 高等学校(専攻科又は別科)             1年以上3年以下

ホ 高等専門学校

(イ) 商船に関する学科以外の学科            5年

(ロ) 商船に関する学科                 5年6月

へ 高等専門学校(専攻科)               1年以上3年以下

ト 大学

(イ) 医学、歯学又は薬学以外の学部(夜間学部を含む。) 4年

(ロ) 医学、歯学又は薬学の学部             6年

(ハ) 専攻科又は別科                  1年

(ニ) 短期大学                     2年又は3年

(ホ) 専修学校(専門課程)               4年

(ヘ) 専門職大学                    4年

(ト) 専門職短期大学                  2年又は3年

チ 大学院

(イ) 大学院(修士課程)                2年

(ロ) 専門職大学院                   2年

リ 大学院(博士課程)                 3年

ヌ 公共職業能力開発施設

(イ) 普通職業訓練(普通課程)             2年

(ロ) 高度職業訓練(専門課程又は応用課程)       2年

(ハ) 高度職業訓練(総合課程)             4年

 国等が設置する施設 当該施設において実施される教育訓練等として予め示された期間(当該期間として1年以上のものに限る。)

(5) 要綱5(1)イの「当該学校等の区分ごとに原則一度支給する」とは、援護費の支給は、4(4)のイ~リの各区分(以下「教育課程」という。)において、次の場合を除き、一度に限られることをいう。

・ 既に同一の教育課程に属する学校等(4(4)のハ(イ)~(ハ)、ホ(イ)・(ロ)、ト(イ)~(ト)、チ(イ)・(ロ)及びヌ(イ)~(ハ)をいう。以下同じ。)を卒業した後又は卒業する前に退学した後に(既に卒業又は退学した学校を、以下「既卒の学校等」という。)、再度、同一の教育課程に属する学校等に入学する場合であって、再度入学する学校等の通常の修業年限から、既卒の学校等に在学又は在校していた期間に援護費の支給を受けていた期間を差し引いた期間がある場合。 当該差し引いた期間について、支給申請があれば援護費を支給することとする。

5 欠格事由等

(1) 要綱6の(1)イの欠格事由は、法第16条の4に定める遺族補償年金の受給権の消滅と同様の考え方により、学資の支弁が困難ではなくなったものとして定められたものである。

(2) 要綱6の(1)ロの「特に労災就学援護費を支給することが適当でないと認むべき事情」とは次の場合をいう。

イ 休学又は停学のため学校に出席しないこと

ロ 留年又は落第により原級に留まっていること

ハ 学費の支弁が困難でなくなったこと

6 手続

(1) 援護費の支給は、要綱7の(1)ロに掲げる書類その他の資料を添えて提出された「労災就学等援護費支給(変更)申請書」(様式第1号)により、所轄署長が行うべき当面の事務の処理については、別紙「労災就学援護費の支給に係る当面の事務処理について」によることとされたい。

なお、事務処理要領の詳細については、「労災就学援護費支給事務処理要領(昭和46年2月6日基発第99号)」を参照していただきたい。

(2) 要綱7の(1)ニの「在学者の増加、減少又は変更」とは、同一の受給権者に係る在学者等の数に変更が生じた場合又は在学者等でなくなった者と在学者等となった者が同時に発生して援護費の額に変動がある場合をいい、すでに援護費を受けている者の進学による援護費の額の変更は含まない。進学による援護費の額の変更は、要綱8の(1)ロの「労災就学等援護費支給対象者の定期報告書」(様式第3号)により所轄署長が職権変更を行い、要綱7の(1)ホにより事務処理を行うこととする。

なお、遺族補償年金の受給権者が転給によって変わったときは、在学者等の数の変動に関係なく、新たな受給権者から「労災就学等援護費支給(変更)申請書」(様式第1号)を提出せしめることとする。

7 支払

(1) 援護費の支払は、年金たる保険給付の支払とあわせて、これと全く同様に行う。ただし、支払期月以外の支払は行わない。

(2) 援護費の支払期月は年金たる保険給付の支払期日と一致させ、各支払期日に支払われる援護費は学年に合致させて支払期月の前前月までの2ヶ月分とした。

(3) 要綱8の(1)ロの「所轄署長がこの報告を必要でないと認める場合」とは、次の場合をいう。

イ 毎年6月30日又は10月31日までに提出される則第21条の年金たる保険給付の定期報告において援護費の支給につき特に事情の変更がないと認められるとき、たとえば、遺族補償年金の受給権者については援護費の支給に係る在学者等が小学校又は中学校の低学年生であって、死亡、養子縁組の解消等により遺族補償年金の受給権又は受給資格を失う事実が認められない場合などである。

ロ その年の4月に入学その他の事情があって、「労災就学等援護費支給対象者の定期報告」(様式第3号)を提出すべき時期の直前に「労災就学等援護費支給(変更)申請書」(様式第1号)が提出されたとき。

(4) 要綱8の(1)ハの「未支給の労災就学援護費」とは、次のものをいう。

イ 援護費の支給を受ける者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき援護費でまだその者に支給しなかったもの。

ロ 援護費の支給を受ける者が障害補償年金、遺族補償年金又は傷病補償年金の受給権を失った場合(死亡による失権を除き、遺族補償年金については転給者がいない場合に限る。)において、ある支払期月で障害補償年金、遺族補償年金又は傷病補償年金の支払は終わったが援護費のみの支払が次の支払期月まで残ったときの当該援護費の未払分。たとえば、障害補償年金の受給権者が4月に失権したとき、障害補償年金は5月に2月分、3月分、4月分が支払われるが、援護費は5月には1月分、2月分及び3月分しか支払われず、4月分は8月に支払われることとなる。その8月に支払われる4月分の援護費をいう。

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