確定給付企業年金法施行規則 第110条~第122条
このページでは確定給付企業年金法施行規則(DB法施行規則) 第110条、 第111条、 第112条、 第113条、 第114条、 第115条、 第116条、 第116条の2、 第117条、 第118条、 第119条、 第120条、 第121条、 第122条 を掲載しています。
(令和6年12月1日施行)
第十章 雑則
(経理の原則)
第百十条 事業主等は、その事業(規約型企業年金の事業主にあっては確定給付企業年金の事業に限る。)の財政状態及び経営成績を明らかにするため、財産の増減及び異動並びに収益及び費用をその発生の事実に基づいて経理しなければならない。
2 規約型企業年金の事業主は、給付に関する取引を年金経理として経理するものとする。
3 基金の経理は、年金経理及び業務経理の各経理単位に区分して行うものとする。
4 前項の年金経理は給付に関する取引を経理するものとし、業務経理はその他の取引を経理するものとする。
5 第二項及び前項に規定する取引とは、各経理単位における資産、負債及び基本金の増減又は異動の原因となる一切の事実をいう。
6 各経理単位においては、資産勘定、負債勘定、基本金勘定、費用勘定及び収益勘定を設けて取引を経理するものとする。
(年金経理から業務経理への繰入れ)
第百十一条 基金は、前事業年度の末日における積立金の額が責任準備金の額又は最低積立基準額のいずれか大きい額を上回るときは、当該上回る額に相当する額を限度として、年金経理から業務経理へ繰り入れることができる。
2 前項の繰入れは、当該繰入れを行わなければ、基金の事業の実施に支障を来す場合その他やむを得ない場合に限り行うものとする。
(剰余金の処分等)
第百十二条 年金経理において決算上の剰余金を生じたときは、これを別途積立金として積み立てなければならない。
2 年金経理において決算上の不足金を生じたときは、別途積立金を取り崩してこれに充て、なお不足があるときは、翌事業年度にこれを繰り越すものとする。
3 財政再計算の計算基準日において別途積立金がある場合にあっては、当該別途積立金を取り崩すことができる。
4 基金の業務経理において決算上の剰余金又は不足金を生じたときは、翌事業年度にこれを繰り越すものとする。
(事業年度を一年としないことができる場合)
第百十三条 令第六十九条の厚生労働省令で定める場合は、次のとおりとする。
一 第四十九条第一号から第三号までに掲げる場合
二 事業年度を変更した場合
(余裕金の運用)
第百十四条 令第七十条の厚生労働省令で定める方法は、次のとおりとする。
一 臨時金利調整法(昭和二十二年法律第百八十一号)第一条第一項に規定する金融機関(銀行を除く。)への預金
二 信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)への金銭信託
三 国債、地方債、特別の法律により設立された法人の発行する債券、貸付信託の受益証券その他確実と認められる有価証券(次号に掲げる有価証券を除く。)の売買
四 投資信託及び投資法人に関する法律に規定する証券投資信託又は外国投資信託であって、主として前号に掲げる有価証券に対する投資として運用するものの受益証券の売買
五 前各号に掲げる方法のほか、厚生労働大臣の承認を受けた方法
(借入金の承認)
第百十五条 基金は、令第七十一条ただし書の規定により借入金の借入れの承認を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した申請書を地方厚生局長等に提出しなければならない。
一 借入れを必要とする理由
二 借入金の額
三 借入先
四 借入金の利率
五 借入金の償還方法及び期限
六 利息の支払の方法
(年金数理に関する業務に係る書類)
第百十六条 法第九十七条の厚生労働省令で定める書類は、次のとおりとする。
一 給付の設計の基礎を示した書類
二 掛金の計算の基礎を示した書類
三 財政再計算報告書(財政再計算の結果を示した書類をいう。)
四 第百十七条第三項に規定する決算に関する報告書
五 第九十七条第一項第二号及び第九十八条第二号に規定する書類
2 年金数理人は、前項各号の書類について確認を行った場合には、必要に応じて当該書類に所見を付すことができる。
(年金数理人の要件等)
第百十六条の二 法第九十七条第二項に規定する厚生労働省令で定める要件は、次の各号のいずれかに該当する者であり、かつ、十分な社会的信用を有するものであることとする。
一 確定給付企業年金の年金給付の設計、掛金の額の算定等を行うために必要な知識及び経験を有する者として、公益社団法人日本アクチュアリー会が実施する試験の全科目に合格した者又は公益社団法人日本年金数理人会が実施する試験の全科目に合格した者であり、かつ、確定給付企業年金等の年金数理に関する業務に五年以上従事した者(当該業務の責任者として当該業務に二年以上従事したものに限る。)
二 前号に規定する者と同等以上の知識及び経験を有するものと厚生労働大臣が認める者
2 厚生労働大臣は、確定給付企業年金等の年金数理に関する業務の円滑な運営を図るため、年金数理人について、次の各号に掲げる事項を記載した名簿(以下この条において「年金数理人名簿」という。)を作成するものとする。
一 年金数理人の氏名、生年月日、住所及び所属する法人の名称
二 年金数理人名簿への登載をした年月日
三 その他厚生労働大臣が定める事項
3 年金数理人名簿への登載を受けようとする者は、申請書に、次の各号に掲げる書類を添えて、厚生労働大臣に提出するものとする。
一 履歴書
二 第一項第一号又は第二号に定める要件に適合することを証する書類
4 年金数理人の要件に適合すると厚生労働大臣が認めた者については、年金数理人名簿に登載するものとする。
5 厚生労働大臣は、年金数理人名簿に登載された者について、当該登載された旨を通知するものとする。
6 年金数理人は、名簿登載事項に変更があった場合は、遅滞なく厚生労働大臣に変更届を提出しなければならない。
7 年金数理人名簿に登載された者が、年金数理人の要件について不実の告知を行って年金数理人名簿に登載されたことが判明したときは、厚生労働大臣は、当該登載を取り消すものとする。
8 厚生労働大臣は、年金数理人名簿に登載された者が死亡したとき、抹消の申し出を行ったとき、又は第一項に規定する要件に該当しなくなったときは、当該登載の抹消を行うものとする。
(事業及び決算に関する報告書)
第百十七条 法第百条第一項の確定給付企業年金の事業及び決算に関する報告書は、事業報告書及び決算に関する報告書に区分して作成し、地方厚生局長等に提出するものとする。
2 事業報告書には、次に掲げる事項を記載するものとする。ただし、受託保証型確定給付企業年金については、第一号(閉鎖型受託保証型確定給付企業年金にあっては、給付の種類ごとの受給権者に関する事項に限る。)及び第二号(閉鎖型受託保証型確定給付企業年金にあっては、給付の支給状況に関する事項に限る。)に掲げる事項に限る。
一 加入者及び給付の種類ごとの受給権者に関する事項
二 給付の支給状況及び掛金の拠出状況に関する事項
三 積立金の運用に関する事項
3 決算に関する報告書は、次に掲げるものとする。ただし、受託保証型確定給付企業年金については、第一号及び第二号に掲げる事項を記載することを要しない。
一 貸借対照表
二 損益計算書
三 積立金の額と責任準備金の額及び最低積立基準額並びに積立上限額との比較並びに積立金の積立てに必要となる掛金の額を示した書類
4 基金が第一項の報告書を地方厚生局長等に提出する場合には、当該報告書に監事の意見(二以上の事業主が共同して設立する基金(第十九条の二第一号に掲げる要件に該当する基金及び積立金の額が常時二十億円を下回る、又は下回ると見込まれる基金を除く。)の監事である場合にあっては、基金の事業の健全な運営を確保するため、次の各号に掲げる結果のいずれかを考慮した意見)を付けて代議員会に提出し、その議決を得なければならない。
一 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第一条の三第三項に規定する監査法人の監査の結果
二 公認会計士法第三条に規定する公認会計士の資格を有する者(同法第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。)の監査の結果
三 前二号に掲げる監査に準ずるものとして厚生労働大臣が定めるものの結果
(死亡の届出)
第百十八条 法第九十九条の規定による死亡の届出は、届書に、受給権者の死亡を証する書類を添付して、事業主等又は連合会に提出することによって行うものとする。
(立入検査等の場合の証票)
第百十九条 法第九十条第二項及び法第百一条第二項の規定によって当該職員が携帯すべき証票は、様式第三号による。
(地方厚生局長等の経由)
第百二十条 事業主等又は確定給付企業年金を実施しようとする事業主が厚生労働大臣に提出すべき書類は、地方厚生局長等を経由して提出するものとする。
(権限の委任)
第百二十一条 法第百四条第一項及び令第七十二条第一項の規定により、次に掲げる厚生労働大臣の権限は、地方厚生局長に委任する。ただし、厚生労働大臣が第十二号及び第十四号から第十六号までに掲げる権限を自ら行うことを妨げない。
一 法第三条第一項第一号に規定する権限(実施しようとする確定給付企業年金が簡易な基準に基づく確定給付企業年金である場合に限る。)
二 法第六条第一項に規定する権限(法第四条第一号及び第二号に掲げる事項に係るもの並びに簡易な基準に基づく確定給付企業年金の規約の変更に限る。)
三 法第七条第一項に規定する権限
四 法第十六条第一項に規定する権限(法第四条第二号及び第十一条第一号並びに令第五条第三号に掲げる事項に係るもの並びに簡易な基準に基づく確定給付企業年金の規約の変更に限る。)
五 法第十七条第一項に規定する権限
六 法第七十四条第一項に規定する権限(統合された規約型企業年金が簡易な基準に基づく確定給付企業年金である場合に限る。)
七 法第七十五条第一項に規定する権限(分割された全ての規約型企業年金が簡易な基準に基づく確定給付企業年金である場合に限る。)
八 法第七十九条第一項及び第二項に規定する権限(同条第一項に規定する移転確定給付企業年金及び承継確定給付企業年金が簡易な基準に基づく確定給付企業年金である場合に限る。)
九 法第八十四条第一項に規定する権限(終了する規約型企業年金が簡易な基準に基づく確定給付企業年金である場合に限る。)
十 法第八十六条に規定する権限
十一 法第八十九条第四項に規定する権限
十二 法第九十条第一項、第四項及び第五項(同項に規定する権限にあっては、清算人の解任に係る確定給付企業年金が簡易な基準に基づく確定給付企業年金である場合に限る。)に規定する権限
十三 法第百条第一項に規定する権限
十四 法第百一条第一項に規定する権限
十五 法第百二条第一項に規定する権限
十六 法第百二条第二項、第三項及び第六項に規定する権限(規約の変更の命令又は承認の取消しに係る確定給付企業年金が簡易な基準に基づく確定給付企業年金である場合に限る。)
十七 令第四十二条第二項に規定する権限
十八 令第六十条に規定する権限
十九 令第六十三条第一項に規定する権限
二十 令第六十五条に規定する権限
二十一 令第七十一条に規定する権限
2 法第百四条第二項及び令第七十二条第二項の規定により、前項各号に掲げる権限は、地方厚生支局長に委任する。ただし、地方厚生局長が前項第十二号及び第十四号から第十六号までに掲げる権限を自ら行うことを妨げない。
(管轄地方厚生局長等)
第百二十二条 前条の規定により委任された地方厚生局長等の権限は、管轄地方厚生局長等が行うものとする。ただし、管轄地方厚生局長等以外の地方厚生局長等が前条第一項第十二号、第十四号から第十六号までに掲げる権限を行うことを妨げない。
2 前項に規定する管轄地方厚生局長等は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 規約型企業年金の場合 実施事業所(二以上の実施事業所で一の規約型企業年金を実施する場合にあっては、主たる実施事業所)の所在地を管轄する地方厚生局長等
二 基金型企業年金の場合 基金の主たる事務所の所在地を管轄する地方厚生局長等
三 規約型企業年金を実施しようとする場合 実施予定事業所(二以上の厚生年金適用事業所について一の規約型企業年金を実施しようとする場合にあっては、主たる実施予定事業所)の所在地を管轄する地方厚生局長等
四 基金を設立しようとする場合 設立しようとする基金の主たる事務所を設置しようとする地を管轄する地方厚生局長等