【人工知能が拓く未来~人事労務分野への影響~】第6回 「お客様の声」の分析 欲しい情報を抽出 エキスパートと同じ視点で/武田 秀樹

2016.05.16 【労働新聞】
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営業活動支援にも活用

 人工知能を活用できるケースとして、さらに身近な「営業活動」ではどうだろうか。KIBITが金融機関の営業支援に活用されている例を紹介しよう。

 一般的に、顧客との取引履歴や属性の記録・管理にはCRM(顧客管理)システムが用いられる。システムのデータベースに記録されているのは、取引の日付、店舗、商品の種類・金額、コンタクト方法など、数値として客観的に示されるものが多い。しかし、お客様の意向や伝え方のニュアンスなど、「キーワード検索」では捉えることが難しいテキストが、購入の決め手となる場合がある。具体的には、次のようなテキストが、営業に有用な情報を含んでいる。

 ・お客様の商品ニーズ、希望条件

 ・お客様の資金の有無のタイミング

 ・お客様のリスク基準、相場観や景気への見通し

 これらの情報を含む文章は、営業日報や顧客とのメールのやりとり、取引履歴の備考欄などに記載されていることが多い。営業のチャンスを掴み、取りこぼしのリスクを回避するためには、膨大な記録から、いかに迅速に、こうした情報を高い精度で抽出できるかがカギとなる。そこで、営業成績の良いスタッフの知見や活動を分析し、営業機会につながりそうな情報を含むテキストをKIBITに学習させ、同じような特徴を持ったテキストを選び出すことで、効率的に営業に有用な情報を抽出できるようになった。

 ここで得られる効果は、単に情報の抽出の効率を高めるだけではない。一般の営業スタッフが集めた膨大な情報を、エキスパートの知見に基づいて解析できることが大きなポイントとなる。言葉では伝えにくいエキスパートの“暗黙知”を人工知能が学び、活かせることが、企業の利益につながるといえる。

 次回は、このような人工知能の技術を用いて、労務管理につながる部分である情報漏えいなど不正行為発見での活用、離職防止、セクハラ・パワハラの発見、メンタルケアなどでの活用の可能性について紹介したい。

筆者:㈱UBIC執行役員CTO 行動情報科学研究所所長 武田 秀樹

平成28年5月16日第3064号13面 掲載

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