【人工知能が拓く未来~人事労務分野への影響~】第3回 消えていく職業 半数の人が代替可能 経理事務職などで自動化/青木 俊介

2016.04.18 【労働新聞】
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退職可能性の予測も

 人事や労務の分野でも人工知能の活用は着実に広まっている。米国ウォルマートやクレディ・スイスグループでは、ビッグデータの解析から、社員が退職する可能性を予測するシステムを導入済みだ。在職期間や地理情報、業績レポート、従業員へのアンケートやコミュニケーション傾向などのデータを収集、分析する。退職による配置転換のコストは平均して従業員の年収の21%であり、クレディ・スイスでは予期せぬ退職を防ぐことで年間75億~120億円のコストを抑えることが可能になる。分析結果に基づき、空きポストができた際に社内からの昇進を優先、外部からの採用数を抑えたり、女性の離職率が高いある特定の役職を発見し、配置転換を行うなどの施策を進めたという。またウォルマートの事例では分析データを活用し、年間16万~17万人に上る昇進の対象となる従業員を事前に予測、空いたポストを埋めるための採用や研修を3カ月前から進めるなどしている。

 人工知能技術を使った人事採用支援ソフトウェアも注目を集めている。米国のEntelo社が提供するサービスでは、採用に必要とされる基礎的な人事データや行動に関する情報をソーシャル・ネットワークから自動的に収集・人工知能で分析を行い、転職の可能性が高い人材や今までアプローチできていなかった人材も選出することが可能になるという。連絡を取るべきタイミングや履歴書のランキングなどを算出する機能も提供する。人工知能を活用することで、人事担当者による無意識のバイアスを排除、人材選出の手間を削減することが可能になる。

 2045年には、コンピューターの集積回路の性能が人間の能力を超えるといわれている。集積回路の進化のスピードを表すムーアの法則という法則があり、トランジスタの集積数が18カ月ごとに2倍になっていくとされているが、このペースで進化が進むと2045年ころには、人間の持つ脳細胞の個数を超えることになるのだ。米国の発明家で未来学者のレイ・カーツワイル氏は、この2045年には人工知能の進化が人間の能力を超えて、社会に甚大な影響をもたらす出来事が起こると予測しており、この現象をシンギュラリティ(技術的特異点)と名付けた。

平成28年4月18日第3061号13面 掲載

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