労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2014.11.24 【判決日:2014.03.12】
鹿児島県・U市(市立中学校教諭)事件(鹿児島地判平26・3・12) 指導力不足の研修中自殺、うつ病配慮なく賠償請求 県の責任認容も5割を減額
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償

 うつ病を発症した教師が指導力向上の特別研修中に自殺し、遺族が県らに損害賠償を求めた。鹿児島地裁は、校長らは言動から精神状態の悪化を把握できたが、通院状況を確認せず研修を命じたり退職を促しており心理的負荷が大きいと判示。ストレスをためやすく、自ら病気休暇延長を断るなど素因減額で3割、過失相殺で2割の5割を減額した。 素因と過失相殺で スト……[続きを読む]

2014.11.17 【判決日:2014.02.27】
エム・シー・アンド・ピー事件(京都地判平26・2・27) うつ病復職者に肩叩き、再休職の期間満了で退職扱 解雇示唆し意思決定を侵害
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  • 休職
  • 休職の終了・満了

 うつ病休職から復帰後の退職勧奨で再休職し、その期間満了での退職扱いは違法で無効として、慰謝料や地位確認を求めた。京都地裁は5回勧奨を繰り返し、応じなければ解雇の可能性を示唆するなど自由な意思決定を困難にしており違法と判示。勧奨で強い心理的負荷が生じ、うつ病の悪化に業務起因性が認められることから退職も無効としている。 症状悪化した要因 地……[続きを読む]

2014.11.10 【判決日:2014.02.27】
福原学園(九州女子短期大学)事件(福岡地裁小倉支判平26・2・27) 契約1年で打切り、係争中予備的に2年目も雇止め いずれも無効で再度更新に
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 1年で雇止めされた講師が、職員規則に基づき3年契約として地位確認を求めた係争中に、予備的に2年目の期間満了で雇止めされた事案。福岡地裁小倉支部は育児等の業務への支障は軽微で合理的理由を欠き初回の雇止めを無効としたうえで、雇用継続の期待を基礎付ける事情に変更はみられず、同条件で再度更新したと判示した。 合理的理由を欠く 規則で3年と明示……[続きを読む]

2014.11.03 【判決日:2014.01.20】
国・中労委(田中酸素)事件(東京地判平26・1・20) 合意に反し査定資料不提示、不当労働行為の判断は 委員長の暴言あるとしても ★
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  • 労働組合

 団交で賞与や昇給の査定資料を開示しなかったことが労働協約に反する等、不当労働行為とされたため、会社が中労委命令の取消しを求めた。東京地裁は不誠実な対応としたうえで、交渉の内外での委員長の暴言や暴行が一因ではあるが、不当労働行為の存在自体否定されるものではなく、救済の利益の有無に影響は及ばないとして請求を斥けた。 救済の利益認める 誠実な……[続きを読む]

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