労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2014.07.28 【判決日:2013.11.19】
乙山株式会社事件(大阪地判平25・11・19) 不明朗な金銭授受により懲戒解雇、裁判で理由追加 処分事由の後付けできない
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 職務上の不正行為

 不明朗な金銭授受を理由に懲戒解雇し退職金不支給としたところ、その無効を求めて提訴された事案。会社はその後の着服・背任も密接に関連すると主張したが、大阪地裁は交付した「解雇理由書」に記載はなく処分の意思があったとはいえないうえ、対外的信用の低下は軽微などとして、解雇は行為の性質や態様に照らし相当性を欠き無効とした。 態様に照らし無効 信用……[続きを読む]

2014.07.21 【判決日:2013.07.16】
Y1(機構)ほか事件(神戸地裁尼崎支判平25・7・16) 5年勤めた派遣先に直接雇用され更新1回で雇止め 解雇法理の類推適用できず
ジャンル:
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 5年弱働いた派遣先に直接雇用された契約社員が、更新1回、1年9カ月での雇止めを無効と提訴。神戸地裁尼崎支部は期間の定めのない契約といえるかについて、雇用主が異なる派遣期間は考慮できず、解雇権濫用法理を類推適用する余地はないと判示。更新につき安易に発言しないよう管理職に注意しているなど雇用継続の合理的期待もない。 派遣期間は考慮外 継続の……[続きを読む]

2014.07.14 【判決日:2013.10.30】
国・中労委(旧モービル石油・再雇用)事件(東京地判平25・10・30) 労組の合意なく再雇用制度の廃止は不当労働行為か 見解対立し交渉継続は困難 ★
ジャンル:
  • 労働組合

 定年後の再雇用制度が労組の合意を得ずに廃止され、不当労働行為救済申立てを棄却された労組と下部組織の分会連が、その取消しを求めた。高年法改正前の事案。東京地裁は使用者には労組の要求を受け入れたり、譲歩する義務はないとしたうえで、交渉を7回重ねたが対立したまま継続困難となったもので不誠実な対応とはいえないとした。 7回の協議経ても 正当な拒……[続きを読む]

2014.07.07 【判決日:2013.09.17】
豊富町事件(旭川地判平25・9・17) 器物損壊罪で逮捕、退職勧奨に応じたが撤回求める 懲戒免職示唆し相当性欠く
ジャンル:
  • 処分の量刑
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 退職
  • 退職勧奨

 器物損壊罪で逮捕され退職勧奨を受けた町立病院の検査技師が、口頭での退職の意思表示の撤回を求めた。旭川地裁は懲戒処分の量定基準は減給や戒告であるところ、免職を示唆して退職勧奨したことは相当性を欠くとした。病院は撤回は信義に反すると主張したが、退職願の提出を待たず手続きを進めるなど本人に帰責事由はないとして請求を認容。 量定基準を上回る 請……[続きを読む]

年月アーカイブ

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。