労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2014.06.23 【判決日:2013.04.16】
兵庫県・兵庫県労委(テーエス運輸)事件(神戸地判平25・4・16) 賞与の増額交渉決裂、全額不支給は不当労働行為? 別労組と顕著な差で不合理 ★
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  • 労働組合
  • 賃金
  • 賞与・一時金

 条件付きの賞与増額案を労組が拒否したところ全額不支給となり、労委に救済申立てを棄却されたためその取消しを求めた。神戸地裁は、条件に応じた併存する別労組には賞与を支給しており、組合間で顕著な差が生じ不合理と判断。会社が当初提案した60万円で合意が成立し、合意部分の不支給は組合弱体化を図るもので不当労働行為が成立する。 当初回答額で合意 労……[続きを読む]

2014.06.16 【判決日:2013.09.11】
医療法人衣明会事件(東京地判平25・9・11) 個人宅でのベビーシッター解雇、労基法の適用は? 家事使用人には該当しない
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  • 労働者
  • 労基法の基本原則

 医療法人の代表者宅で勤務するベビーシッター2人が解雇され、地位確認などを求めた。東京地裁は、業務は一般の家事使用人よりも限定的で、育児や家事のマニュアルに基づき指示し、タイムカードで時間管理するなど指揮命令関係等の把握は容易であり、労基法の適用除外となる家事使用人には当たらないとした。解雇は合理的理由を欠き無効。 マニュアルで指示 出退……[続きを読む]

2014.06.09 【判決日:2014.03.24】
東芝事件(最二小判平26・3・24) 神経科の通院歴隠しうつ病発症、賠償減じた判断は 申告し難く過失といえない ★
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  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償

 うつ病を発症し、神経科の通院歴などを会社に申告しなかったことが、労働者の過失に当たるとして賠償額を2割減額した事案の上告審。最高裁はメンタルヘルスに関する情報はプライバシーに属し会社に申告し難いとしたうえで、上司に体調不良による業務軽減を申し出ており、会社は過重業務と認識できたと判断。原審判決を破棄し差し戻した。 業務軽減要求あり 過重……[続きを読む]

2014.06.02 【判決日:2013.11.21】
医療法人甲会事件(札幌高判平25・11・21) 業務終了後の高度検査技術習得のための自習時間は 時間外労働と同視するべき
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  • 労働契約上の権利義務
  • 労働時間
  • 安全配慮義務

 新人の臨床検査技師がうつ病を発症し自殺したのは、安全配慮義務違反が原因として遺族が損害賠償を求めた。残業や業務終了後の自習時間の増加は一時的で発症の予見は困難とした一審に対し、札幌高裁は、難度の高い検査技術習得のための自習は業務と関連し時間外労働と同視されるとしたうえで、負荷軽減措置を怠ったとして請求を認容。 新人技師の自殺で 業務との……[続きを読む]

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