労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2014.05.26 【判決日:2013.11.12】
リコー出向事件(東京地判平25・11・12) 退職勧奨に応じない社員に対する出向命令の効力は 退職期待の権利濫用に該当 ★
ジャンル:
  • 配転・出向

 退職勧奨を拒否した者に対し子会社へ出向を命じたのは権利濫用で無効として、50代の従業員らが訴えた。東京地裁は、出向命令は退職勧奨を断った者が翻意し、退職することを期待して行われたもので、余剰人員の人選基準は合理性を欠くこと、経歴や年齢に配慮した異動とはいえず身体的、精神的な負担が大きいことから出向命令を無効とした。 不当な動機で無効 人……[続きを読む]

2014.05.19 【判決日:2013.06.21】
乙山商会事件(大阪地判平25・6・21) 私物の外付けHDDでデータ無断持ち出し懲戒解雇 情報漏えいの事実なく無効
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 服務規律違反

 私物のハードディスクに取引先の情報を記録し無許可で持ち帰ったとして、懲戒解雇された元従業員が地位確認などを求めた事案。大阪地裁は、懲戒解雇事由の解釈は厳格に運用すべきで、情報流出の危険性を生じさせただけで「外に漏らさないこと」に違反したと同視できないと判示。また、「事案が重篤なとき」にも当たらず解雇無効とした。 危険性生じただけ 拡大解……[続きを読む]

2014.05.12 【判決日:2013.10.09】
アークレイファクトリー事件(大阪高判平25・10・9) 派遣先で「行き過ぎた指導」、パワハラと訴えられる 逸脱あるが強い害意はない
ジャンル:
  • 労基法の基本原則
  • 均等待遇
  • 派遣

 派遣労働者のミスに対する監督者らの「殺すぞ」「あほ」などの叱責について、派遣先の使用者責任を認めた事案の控訴審。大阪高裁は原審同様、監督者の言動は度を超すとして不法行為と認定。使用者責任も認めつつ、問題の言辞に強い害意はないとして慰謝料50万円を30万円に減額するとともに、一審認容の派遣先の不法行為責任も否定した。 慰謝料30万円に減 ……[続きを読む]

2014.05.05 【判決日:2013.05.25】
国・中労委(シオン学園)事件(東京地判平25・5・23) 賞与の低査定は組合差別、救済申立て棄却され提訴 不利益取扱いの推認が可能 ★
ジャンル:
  • 労働組合
  • 賃金
  • 賞与

 組合員の賞与を低く査定したとして、労組が不当労働行為の救済申立てを棄却した中労委命令の取消しを求めた。東京地裁は組合員と非組合員は自動車教習所の指導員として働き、同質性を有する集団と判示。会社と対立が悪化した時期に考課分が100%に拡大し運用に恣意的な要素が入るなど、考課制度の合理性を欠き不利益取扱いと推認した。 考課分が100% 恣意……[続きを読む]

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