労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2014.04.28 【判決日:2013.06.06】
東京都(M局職員)事件(東京地判平25・6・6) 3年で72回遅刻し部下に記録修正させたと停職処分 尽くすべき調査を怠り無効 ★
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 職務上の不正行為

 約3年間で72回遅刻し、部下へ記録の修正を指示したとして停職3カ月とされた都職員が、処分取消しなどを求めた。東京地裁は電車遅延などと区別がつかず日付や回数の特定が困難ななか、担当者らが漫然と遅刻と認定したことは職務上尽くすべき調査義務に反するとした。違法な処分を対外的に公表したことにより被った損害には賠償を命じた。 電車遅延など含む 日……[続きを読む]

2014.04.21 【判決日:2013.09.27】
X建設事件(東京地判平25・9・27) 労災隠しで元請責任者を諭旨退職させ退職金2割減 勤続の功を減殺する背信性
ジャンル:
  • 労災
  • 賃金
  • 退職金

 下請の労災事故を隠ぺいし諭旨退職処分とされた元請の事務所長が、退職金の2割減額は無効と提訴。東京地裁は社内基準で定める事故報告を怠ったほか、被災者の雇用主に保険給付を請求するよう指示せず、処分には合理的理由があると判示。過去の労災隠しを受け厳罰化を周知しており、30年の勤続の功を減殺するほどの背信性を有するとした。 事故報告提出せず 再……[続きを読む]

2014.04.14 【判決日:2013.12.10】
ニヤクコーポレーション事件(大分地判平25・12・10) 有期の運転手が正社員より賃金低く差別と差額請求 賞与や休日数の差は不合理
ジャンル:
  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金

 約8年半にわたり有期契約を更新したトラック運転手が、正社員と処遇に差があるのは違法として提訴。大分地裁はパート法8条の差別的取扱いの禁止は、契約を反復更新した者にも適用するとしたうえで、職務内容や転勤・出向の点で正社員と異なるとはいえず正社員と同視すべきパートに当たると判示。賞与額や週の休日数が異なり不当とした。 職務内容など同一 パー……[続きを読む]

2014.04.07 【判決日:2013.09.25】
X社事件(東京地判平25・9・25) 支店長が着替え盗撮、防止義務怠り使用者に責任? 職務執行と密接な関連なし
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償

 支店長に更衣室を盗撮された女性が、防止義務を怠ったとして使用者責任に基づく損害賠償を求めた。東京地裁は、盗撮は自らの欲望を満たす行為で職務執行と密接な関連性はないと判示。犯罪行為をしないことは従業員の当然の責務で、会社に盗撮を予測し防止する義務はなく、盗撮の裏付けを得て解雇するなど適正対処義務にも反していないとした。 犯罪で予測もムリ ……[続きを読む]

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