労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2014.03.24 【判決日:2012.12.25】
国・尼崎労基署長(園田競馬場)事件(大阪高判平24・12・25) “ストーカー警備員”に刺殺された受付嬢の労災は? 「職務に伴う危険」が現実化
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  • 労災
  • 業務上・外認定

 職場の警備員からのストーカー被害に遭い、殺された競馬場の女性案内係の労災が不支給となった事案。私怨として処分取消請求を斥けた一審に対し大阪高裁は、マスコットガール的存在の女性にストーカー的行動をすることも予想できないわけではなく、職務に内在する危険性と評価。苦情申出を逆恨みし暴行に及んだもので業務起因性を認めた。 苦情いわれ逆恨み 私怨……[続きを読む]

2014.03.17 【判決日:2013.04.25】
新和産業事件(大阪高判平25・4・25) 営業から倉庫業務へ配転、業務上必要なしの判断は 嫌がらせで不法行為を構成
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  • 配転・出向

 総合職から運搬職への配転やそれに伴う降格に業務上の必要性はなく、一部賠償を命じた一審に対し原・被告の双方が控訴。大阪高裁は配転には退職に追い込むなど不当な動機や目的があったと推認。社会相当性を逸脱した嫌がらせで不法行為を構成するとした。総合職として賞与の考課査定をすべきで、裁判所算定額に基づき賠償の支払いを命じた。 退職へ追込む目的 前……[続きを読む]

2014.03.10 【判決日:2013.01.18】
北港観光バス(雇止め)事件(大阪地判平25・1・18) 68歳の高齢ドライバーを体力や糖尿病理由に雇止め 70歳程度まで継続する運用
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 体力低下や持病により68歳で雇止めされたバス運転手が、地位確認などを請求。大阪地裁は体力や健康に問題がない限り70歳程度まで継続する運用がなされていたと判示。事故を恐れ高齢者を減らす方針を決めたが、68歳で線引きした説明はなく、医師の診察を受けさせていないなど業務に耐えられないといえないとして請求を一部認めた。 医師の診察求めず 線引き……[続きを読む]

2014.03.03 【判決日:2013.07.18】
X社事件(広島高判平25・7・18) 主任の登用割合に男女差、昇格で女性差別と訴える 人事考課制度の客観性確保
ジャンル:
  • 均等待遇
  • 女性
  • 昇給昇格・降格

 昇格・昇進で女性差別を受けたとして、会社に損害賠償などを求めたが棄却されたため控訴した。広島高裁は、同期同学歴の男性の9割が主任に昇格し格差は認められるが、人事権の行使として昇格には広範な裁量があるほか、考課基準は公表され二次評定者が再検討するなど考課の客観性が確保されていると評価。差別には当たらないとした。 基準を作成し公表 二次評価……[続きを読む]

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