労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2013.09.23 【判決日:2012.11.16】
医療法人清恵会事件(大阪地判平24・11・16) 介護のため週3日のパートへ転換、1年で雇止めに 更新への期待に合理性あり
ジャンル:
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 母の介護のため週3日のパートへ転換を希望した正規職員を、転換後1年で雇止めしたところ無効と訴えられた。大阪地裁は、パート化は人件費削減も目的としたうえで、職員に1年契約を反対され契約書の「雇止め予告」の文言を削除するなど、更新期待を認識しつつ契約書を調整しており、その期待は客観的にみて合理的と判示。解雇権濫用法理を類推適用し請求を認めた……[続きを読む]

2013.09.16 【判決日:2012.12.27】
プロッズ事件(東京地判平24・12・27) “虫食い”タイムカードでデザイナーの労働時間は データの保存記録から計算
ジャンル:
  • 割増賃金
  • 労働時間
  • 始業終業時刻
  • 賃金

 タイムカードの記録を超えて働き、記録がない日も出勤したとして女性グラフィックデザイナーが割増賃金などを求めた。東京地裁は記録よりも客観的かつ合理的な証拠がある場合、その証拠から労働時間を認定すると判示。記録がない日の出勤は、その日最初にパソコンにデータを保存した時刻から2時間遡った時刻、退勤は最終のデータ保存時刻やメール送信時刻とした。……[続きを読む]

2013.09.09 【判決日:2013.01.29】
姫路市(消防職員・酒気帯び自損事故)事件(神戸地判平25・1・29) 非番日にバイクで自損事故、飲酒運転バレて免職に 第三者に被害なく処分重い
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 懲戒権の濫用
  • 飲酒行為

 非番日に原付を酒気帯び運転し自損事故を起こした消防職員が、懲戒免職は無効と提訴。神戸地裁は、処分の妥当性につき社会観念を推知するうえで、他の自治体の類似事例との比較は軽視できないと判示。多くは人身と物損事故で量定に差を付け、原則免職となるのは人身事故であることなどから、処分は裁量権濫用とした。約30年懲戒歴がないことなども考慮している。……[続きを読む]

2013.09.02 【判決日:2012.11.07】
国・中労委(JR東日本・国労バッジ)事件(東京地判平24・11・7) 組合バッジ着用で出勤停止、不当労働行為の判断は 組合活動色薄く個人の行為 ★
ジャンル:
  • 労働組合

 20年以上勤務中に組合バッジを着用していた者に対する出勤停止処分について、中労委が不当労働行為としたため命令の取消しを求めた。東京地裁は、就業規則の職務専念義務や服装整正規定に反し正当な組合活動ではないとしたうえで、懲戒は組合嫌悪の意図が動機ではないこと、着用者は1人で組合活動の色彩は後退していたことから、支配介入には当たらないと判示。……[続きを読む]

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