労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2013.05.27 【判決日:2010.02.12】
報徳学園(雇止め)事件(大阪高判平22・2・12) 常勤講師を雇止め、専任教諭への登用前提で無効? 採用期待は減弱ないし消滅
ジャンル:
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 常勤講師が更新は3回までとされ雇止めされた事案。専任教諭登用のための試用目的で、雇用継続の期待を認めた一審に対し大阪高裁は、1年契約で更新回数も少なく契約目的も継続雇用が前提とはいえないなど期間の定めのない契約と同視できないとしたうえで、校長の言動から登用期待は当初あったが更新回数の告知を受け減弱ないし消滅と判示。原判決を取り消した。……[続きを読む]

2013.05.20 【判決日:2012.09.07】
萬屋建設事件(前橋地判平24・9・7) 労働時間は自己申告制、残業制限し過労死の責任は 実態調べず把握義務怠った
ジャンル:
  • 労働時間
  • 始業終業時刻

 残業や休日労働の自己申告制を採る建設会社の現場責任者がうつ病で自殺し、過重労働が原因か争った事案。前橋地裁は、申告と実時間が合致するか調査し健康状態を悪化させないようにする義務(労働時間把握義務)を負うと判示。月24時間を超える残業の申告を認めず義務を懈怠していたとしたうえで、業務の過重性を認識し自殺は予見可能として損害賠償義務を認めた……[続きを読む]

2013.05.13 【判決日:2011.08.09】
国立大学法人乙大学事件(東京地判平23・8・9) 入試の採点ミス隠ぺい、訓告1年後にも停職命じる 追加の処分重く懲戒権濫用
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 懲戒権の濫用

 入試の採点ミスに対する訓告から約1年後、隠ぺいを理由に停職3カ月とされた中学校教諭が、二重処罰で無効と提訴。東京地裁は、両処分は対象行為が異なるとしたうえで、学校は隠ぺいを認識しながら処分追加の可能性を告知しなかったこと、自宅待機なども命じたことから、教師が訓告処分限りと信じたことに相当の理由があると認め、停職は重すぎ懲戒権濫用とした。……[続きを読む]

2013.05.06 【判決日:2012.08.29】
M社(セクハラ)事件(東京高判平24・8・29) 社長から強姦されたと提訴、合意の上との判断は!? 自由意思でなく人格権侵害 ★
ジャンル:
  • セクハラ
  • 女性

 内定先でアルバイトしていた女子大学生が、社長らに性的関係を強要され損害賠償を求めた事案の控訴審。一審は合意の上としたが、東京高裁は、立場を利用した行為で、自由意思に基づく同意は認められず性的自由や人格権の侵害と判示。社長は実質的には被用者で、女性宅を訪ねた行為は事業執行と関連があるとして会社の使用者責任を認容。連帯して支払いを命じた。……[続きを読む]

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