労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2013.04.22 【判決日:2012.11.15】
国・中労委(ソクハイ)事件(東京地判平24・11・15) メッセンジャーとの団交拒否不当とした労委判断は 組織に組み込まれた労働者 ★
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  • 労働組合

 自転車で配送を請け負う「メッセンジャー」らの労組との団交を拒否した会社が、中労委の救済命令取消しを求めた。東京地裁は、業務遂行に不可欠な労働力として組織に組み入れられていたと判示。契約内容は一方的に決められ事業者性も高くないなど、業務実態から労働契約またはそれに類する契約により労務を提供し収入を得る者に当たり、労組法上の労働者とした。……[続きを読む]

2013.04.15 【判決日:2012.07.13】
マンナ運輸事件(京都地判平24・7・13) ドライバーが法定休日の兼業不許可とされ賠償請求 本業の労務提供に支障なし
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  • 労働契約

 トラック運転者が、勤務の合間や法定休日などに希望した4度の兼業申請を拒否され損害賠償を求めた。京都地裁は、過労防止の点から次の勤務までの休息が6時間を切ったり、改善基準告示の月293時間を超えるような兼業を禁じた規定の合理性は認めたが、業務への支障を判断せず単に休日を理由に不許可としたことは、兼業を不当かつ執拗に妨げる対応で、30万円の……[続きを読む]

2013.04.08 【判決日:2012.07.17】
コアズ事件(東京地判平24・7・17) 10人雇う”特命”達成できず中途採用の営業部長クビ 恣意的な人事で裁量権濫用
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  • 昇給昇格・降格
  • 職務能力
  • 解雇

 中途採用の営業部長が、新人10人を雇う「特命」を達成できず、給与減額や降格後に解雇され処分無効と提訴。東京地裁は、30万円を超える減額の不利益は甚大で、他方、採用業務につき書面上の合意もなく帰責性は認められないと判示。降格についても、減給同様に恣意的な人事で裁量権濫用とした。減給や降格の有効性を基礎付けられない以上、解雇は無効と断じた。……[続きを読む]

2013.04.01 【判決日:2012.08.23】
ライトスタッフ事件(東京地判平24・8・23) 分煙を求めた営業マンが試用期間中に解雇され提訴 留保解約権の濫用的な行使 ★
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  • 労働契約
  • 解雇
  • 解雇権の濫用
  • 試用期間

 試用期間中に受動喫煙で体調を崩した保険営業マンが、社長に分煙を求めたところ解雇され提訴。東京地裁は、解雇権濫用法理の枠組を大きく逸脱する解約権行使は認められないと判示。休職中に必要な連絡を怠り就業規則の解雇事由に当たるが、能力など適格性を見極めず、分煙要求を疎ましく思う余り解雇したのは拙速で、解約回避措置を講ずべきとして解雇無効とした。……[続きを読む]

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