ヤマガタ事件(東京地判平22・3・9) 敏腕営業の転職は競業禁止義務違反と退職金ゼロに “勤続の功”抹消や減殺ムリ

2010.10.11 【判決日:2010.03.09】
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 紙加工会社の元支店長が、退職金を請求したところ、懲戒解雇や競業禁止義務違反を理由に不支給とされたため争った。東京地裁は、退職届により雇用関係は消滅しており解雇無効と判示。転職先へ顧客を紹介し元会社の取引量を減少させるなど就業規則の懲戒事由が形式的に存在するが、不利益は小さく勤続の功を抹消、減殺するほどの背信性があるとはいえないとした。

著しい背信性ない 就規には反するが

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Y社の就業規則では、退職金は退職年金規約により支給すると定めており、退職年金規約12条には、懲戒解雇された場合の不支給(情状によって一部支給)が定められている。また、就業規則53条にも、退職金の不支給事由が定められ、(1)52条の競業禁止義務に違反した場合、(2)懲戒解雇されたときおよび懲戒解雇相当の事由がある場合とされている。

 就業規則52条では、在職中および退職後を通じて、守秘義務(1項)と、前項の秘密を利用した競業的行為の禁止(2項)、また、退職後2年以内に勤務場所所在市などの営業担当区域で、自ら営業活動を行うか同業他社に就職した場合は、退職金を不支給にするほか、会社に与えた損害を賠償しなければならない(3項)と定めている。

 Xは、Yの東京支店長兼品川支店長であったが、平成18年12月7日、同月22日をもって退職する旨の退職届を提出し、その後、競業会社であるS社に就職した。S社は、Xを入れて従業員4人の会社であるが、平成17年5月に設立され、取締役はXの妻である。

 Y社は、平成18年12月12日に翌年1月15日付懲戒解雇通知を行い、退職金不支給としたため、Xが退職金請求の訴えを提起した。…

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平成22年10月11日第2796号14面 掲載

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