医療法人衣明会事件(東京地判平25・9・11) 個人宅でのベビーシッター解雇、労基法の適用は? 家事使用人には該当しない

2014.06.16 【判決日:2013.09.11】
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 医療法人の代表者宅で勤務するベビーシッター2人が解雇され、地位確認などを求めた。東京地裁は、業務は一般の家事使用人よりも限定的で、育児や家事のマニュアルに基づき指示し、タイムカードで時間管理するなど指揮命令関係等の把握は容易であり、労基法の適用除外となる家事使用人には当たらないとした。解雇は合理的理由を欠き無効。

マニュアルで指示 出退勤時間を管理

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Yは診察所を経営する医療法人であり、Aはその代表者である。Aには配偶者との間にB子がいる。Aと配偶者(以下総称するときは「A夫妻」)は、インターネット上に、「個人宅でのベビーシッター/1歳女児の世話・スクールの送り迎え」と題する求人広告を掲載した。

 平成19年9月1日、X1、X2(以下総称するときは「Xら」)は、求人広告に応募し、Yに採用され、A夫妻宅で勤務することとなった。

 Xらの労働条件は、所定労働時間は、①午前8時~午後4時、②午後3時~午後11時、③午後11時から翌日午前8時(ただし、非常時のみの対応であり休憩が1時間以上可能なので8時間勤務とする)の各コマに分かれ、累計で月22コマとなっていた。賃金は月額30万円とされ、勤務が22コマを超過した場合は1時間当たり2000円を支給することとなっていた。ベビーシッターは、当初3人、後に4人体制であった。

 Xらの勤務は、基本的にはB子のそばを離れずその世話をし、付随する食事準備、洗濯、各種幼児教室への送迎等が中心であったが、洗濯やゴミ出しについては、A家のものとB子のものとで区別はなく、掃除も週1回掃除業者がまとめて行ってはいたが、XらがA家のリビング、キッチン、トイレなどについて簡単な掃除をしていた。また、一般的な食事準備は別途派遣の料理人が行っていた。また、Xらは勤務に際し、出退勤時間を手書きでタイムカードに記載し、Yに提出していた。…

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平成26年6月16日第2973号14面 掲載

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