リーディング証券事件(東京地判平25・1・31) 1年有期の外国人を6カ月の試用期間中に中途解雇 「留保解約権」の行使は有効

2015.04.06 【判決日:2013.01.31】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 雇用期間1年間のうち6カ月を試用期間として雇われた韓国人の証券アナリストが、採用後2か月半で解雇されたため地位確認などを求めた。東京地裁は日本語能力などの判定は3カ月で十分としたうえで、能力は期待のレベルに遠く及ばないほか、採用時の課題を夫が手伝った事実が明らかになり、使用者との信頼関係を喪失させたとして留保解約権の行使を有効とした。

日本語能力に不備 3カ月で判断可能

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Xの出身地および国籍は韓国であり、日本で博士号を取得した後、投信会社で経済アナリストとして勤務した経験があり、Y証券会社に期間1年の約定で採用され、証券アナリストとしてリサーチセンター室に配属された。

 当該労働契約には、6カ月の試用期間設定があったところ、Y社は、約2カ月半を経過した時点で、Xが日本語で文章を作成する能力に不足していること、越権行為や上司の指示違反を繰り返したこと等を理由に、Xを解雇(留保解約権の行使)した。

 Xは、留保解約権の行使は、有期労働契約の解雇に関する労働契約法17条1項に違反し無効であるとして、残存契約期間の未払賃金等および違法な留保解約権の行使等による慰謝料(損害賠償金)等の支払いを求めた。

判決のポイント

 1 有期労働契約において試用期間を設けることの有効性

 有期労働契約においても試用期間の定め(=解約権の留保特約)を置くことに一定の合理性が認められる。しかし、その一方で、労働契約の期間には、雇用保障的な意義があり、強行法規である労契法17条1項により解雇には「やむを得ない事由」が必要とされていることから、試用期間の定めは、同条項の趣旨に抵触しない範囲で許容されるものであり、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成27年4月6日第3011号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。