関西定温運輸事件(大阪地判平10・9・7) 周知されていない就業規則の定年制の効力は? 特段の事情なければ無効

1999.02.15 【判決日:1998.09.07】
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反復継続して実施された形跡もない

筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)

事案の概要

 K運送会社が、昭和59年に作成した旧就業規則には、定年を満50歳とする旨の規定があり、その後平成7年に作成された新就業規則では定年年齢は満55歳とされた。

 Fは、K社に雇用されるトラック運転手であるが、満55歳に達したところで同社との間で嘱託雇用契約を締結した。

 Fは、旧就業規則及び新就業規則はいずれも周知されておらず効力がないと主張し、正社員の地位にあることの確認等を求めて争った。

判決のポイント

 旧規則は、従来被告においては労働基準監督署に届出た就業規則が存在しなかったため、昭和59年ころ、A(K社代表者)がB運輸からの出向社員と共同で作成し、届出たものであるが、その作成については全く従業員に知らされなかったこと、届出に際し添付された従業員代表Cの同意書も、Aにおいて作成したものであること、実際にも被告の従業員であったCは、昭和59年9月18日満50歳、平成元年9月18日満55歳になったにもかからわず、何ら定年退職の取扱いを受けなかったことが認められ、これらによれば、旧規則は、従業員に対して全く周知がされなかったものであり、かつ、実際にもそこに定められた定年制を前提とする運用は行われていなかったというべきであるから、旧規則による定年の定めはその効力を認めることができない。したがって、被告には、平成7年の新規則制定まで定年の定めはなかったというべきである。

 なお、…

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平成11年2月15日第2237号13面 掲載

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