『第三者行為災害』の労働実務相談Q&A

NEW2024.04.22 【労働安全衛生法】

業務外の第三者災害? 仲悪い従業員がケンカ

キーワード:
  • 第三者行為災害
Q

 社内で殴り合いのケンカが発生しました。元々仲の悪い従業員同士でしたので、労災になるのかどうかはよく分かりません。労災でなければ健康保険の第三者行為災害になるのでしょうか。何か留意すべきことがあれば教えてください。【北海道・M社】

A

休業すれば死傷病報告

 通達(平21・7・23基発0723第12号)では、他人の故意に基づく暴行による負傷は、故意が私的怨恨に基づくもの、自招行為によるものその他明らかに業務に起因しないものを「除き」、業務(または通勤)に起因するものと推定するとしています。

 健康保険は、業務災害以外の傷病等に関して保険給付を行います(法1条)。療養の給付等に係る事由が第三者の行為によって生じたときは、…

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2023.05.29 【労災保険法】

加害者不明で手続きは? 自転車同士が接触事故

キーワード:
  • 第三者行為災害
Q

 従業員が出勤のため自宅最寄り駅まで自転車走行中、T字路で出合い頭に自転車と接触、転倒して負傷したのですが、相手はそのまま走り去ってしまったとのことです。このように相手方・第三者が不明な場合でも第三者行為災害に該当するのでしょうか。手続きをするうえでの注意点等を教えてください。【三重・C社】

A

第三者行為の届出必要 労災保険給付を先行

 相手を確認できず別れてしまったような場合も、負傷の原因が第三者の加害行為であることには変わらないので、労災保険への保険給付請求を行うに当たっては「第三者行為災害」として第三者行為災害届の提出が必要です。「第三者行為災害」の相手方欄には「不明」であることと、その事情を記載することになります。

1.「第三者行為災害」とは

 労災保険では、当該災害に係る保険関係の当事者(保険給付を行う政府と保険給付を受ける被災労働者(遺族を含む))以外の者(第三者)の行為によって業務災害、通勤災害を被った場合においては、これらの災害を「第三者行為災害」といっています。

 第三者行為災害は、当該事故の発生に関して第三者の不法行為が介在しているため、相手方からの損害賠償との調整を図る必要があることから、他の災害による保険給付手続きと区別して取り扱っています。

2.「第三者行為災害」の必要な手続き

 第三者行為災害による労災保険給付の請求に当たっては、…

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2022.08.30 【健康保険法】

飲酒事故で給付されるか 配偶者が自動車に同乗

キーワード:
  • 第三者行為災害
Q

 私生活で自動車を飲酒運転して自損事故を起こした従業員がいます。一般的に交通事故に健康保険は使えないということを聞くこともありますが、飲酒運転の場合に保険給付はどうなるのでしょうか。同乗者がいたときの考え方も教えてください。【岡山・I生】

A

被扶養者のケガも制限 第三者行為災害届を提出

 自賠責保険等の関係は当欄では割愛します。健康保険給付に関する条文では、自己の故意の犯罪行為や故意に給付事由を生じさせたときは、保険給付は行わないとする法116条があります。ここでいう犯罪行為は、刑法その他の法令(条例含む)に違反し処罰された場合をいい、飲酒による無謀運転で事故を起こし、負傷した場合などは故意の犯罪行為(健康保険法の解釈と運用)としています。…

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2022.07.25 【労災保険法】

第三者行為に該当? 建設資材が原因で事故

キーワード:
  • 第三者行為災害
  • 通勤災害
Q

 通勤途上、工事現場の付近を自転車で通りかかったとき、散乱していた資材に引っかかって転倒、負傷しました。通勤災害になる場合で、ケガの直接の原因は「物」ですが、これも第三者行為災害でしょうか。【愛知・R生】

A

「人」の加害に限らない

 労災保険給付の原因となった業務上または通勤災害が第三者の加害行為等によって発生した場合を第三者行為災害と称しています(労災法12条の4)。

 第三者行為災害が成立するためには、①保険給付の原因となった災害が第三者の行為等によって生じたものであること、②第三者が受給権者に対し損害賠償責任を負っていることの要件をいずれも…

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2022.01.12 【労災保険法】

示談する場合の注意点は 「第三者行為災害」が発生

キーワード:
  • 第三者行為災害
  • 通勤災害
Q

 先日、当社従業員が自転車による通勤途中に自動車と接触して転倒、負傷するという事故が起きました。従業員にはほぼ過失はなく、労災保険による補償を受けてきましたが、今般相手方が加入する保険会社から「示談」の提案がありました。「示談」を行うに当たっての注意点がありましたら教えてください。【山梨・M社】

A

労災給付がストップに 請求予定なら書面記載

 被災者等と第三者の間で、全部示談が真正に成立し、示談内容以外の損害賠償の請求権を放棄した場合、政府は、原則として示談成立以降の労災保険給付を行わないことになっていますので、示談前に都道府県労働局または労働基準監督署に相談することをお勧めします。

 厚生労働省の「第三者行為災害のしおり」も参考になるでしょう。

1 「示談」とは

 示談は、損害賠償すべき額について、当事者の合意によって、早期に決定するため、当事者の話し合いにより互いに譲歩し、互いに納得する額で折り合うための契約をいいます。

2 「示談」の効果(労災保険給付との関係)

 被災者等と第三者の間で、全部示談(被災者等が受け取るすべての損害賠償についての示談)が真正に(錯誤や脅迫などではなく両当事者間の真意によって)成立し、…

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