『業務上災害』の労働実務相談Q&A

2023.12.28 【交通事故処理】

逸失利益から税金引くか 存命なら納めた所得税分

キーワード:
  • 業務上災害
Q

 夫は在職中、年間2000万円超の給与収入を得ていました。しかし、不慮の交通事故により死亡したため、遺族は、事故加害者に対して、損害賠償を求めたいと考えています。夫が存命であれば得たであろう給与を逸失利益として請求する予定ですが、その算定に当たり、将来納めたであろう所得税等の税額は控除されてしまうのでしょうか。【神奈川・K子】

A

原則的に控除されない 一定割合が「生活費」に

 被害者が死亡した場合の逸失利益は、生前の基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数により算定するのが一般的であり、基礎収入は、事故前の収入(税引前)を元に算定されます。したがって、将来納めたであろう税額は、逸失利益の算定に当たり原則として考慮されません。

 裁判例上も、「納税額の決定等は専ら立法政策上の被害者と納税権者との関係に止まり、…

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2023.03.29 【健康保険法】

役員の業務災害に給付? 労災は特別加入せず

キーワード:
  • 傷病手当金
  • 労災保険給付
  • 業務上災害
Q

 当社はいわゆる家族経営で、配偶者が役員を務めています。業務上災害は労災保険、それ以外は健康保険という理解ですが、業務上災害に関して特別加入はしていません。この場合、救済はないでしょうか。【神奈川・N社】

A

被保険者5人未満で特例 傷病手当金も支給対象

 労働者でない役員の業務上災害ですが、まず、中小事業主等は労災保険に特別加入することによって、労災保険の給付を受けられる場合があります。対象となるのは、以下に定める数の労働者を常時使用する法人の代表者および役員などです。…

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2022.02.25 【労働基準法】

時短で平均賃金どう計算 業務上災害の休業補償

キーワード:
  • 休業補償
  • 平均賃金
  • 業務上災害
  • 賃金関係
Q

 コロナの影響で労働時間を一部短縮する中、業務上災害が発生しました。平均賃金の計算ですが、賃金計算期間内に一部就労があるときの計算方法について教えてください。【千葉・O社】

A

「使用者の責」控除する 日給月給にも最低保障が

 労基法76条は、業務上の傷病により療養するため、労働することができず賃金を受けない日について、休業補償を義務付けています。労災法の災害補償に相当する給付が行われる場合、使用者は、労基法の補償の責を免れます(法84条)。労災法の休業補償給付が支給されるのは、業務上の傷病による療養のため労働することができず賃金を受けない日の第4日目からです。

 労基法の休業補償は平均賃金の6割です。平均賃金は、…

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2021.08.20 【労災保険法】

スポーツ選手も保険適用? 競技中ケガしたら 企業に雇用されプレー

キーワード:
  • 業務上災害
Q

 原則無観客ですが、オリンピックそしてパラリンピックと熱戦が続きます。そこで疑問ですが、出場選手の中に企業に所属する人もいます。身分としては会社員ですが、練習や競技参加について大幅な優遇を受けているような人たちです。今回の大会参加は「企業というより日本を代表」するものですが、仮に競技期間中にケガ等をした場合、労災保険の適用はどうなるのでしょうか。【埼玉・O社】

A

出張・出勤扱いなど要件

 業務上の災害として労災保険給付を受けるためには、基本的にその行為に「業務遂行性」があり、かつ発症した傷病について「業務起因性」が認められる必要があります。

 運動の練習や競技参加に関しても、上記の要件を満たせば、労災保険の保護対象となります。ご質問にある「企業スポーツ選手」タイプのほか、一般の会社員であっても、業務命令で運動会等に参加した場合等は、労災認定の余地があります。

 ただし、いわゆる接待ゴルフ等に関しては、被災者側の「業務上」という主張が認められないケースも少なくありません。…

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2021.06.28 【労災保険法】

病気の労災認定難しいか 業務起因性などどう判断

キーワード:
  • 労災認定
  • 業務上災害
  • 業務上疾病
Q

 業務上災害の業務上外認定において、「業務遂行性」と「業務起因性」が認められることが要件になることは承知しておりますが、業務上疾病の場合の「業務遂行性」と「業務起因性」はどのように考えたらいいのでしょうか。【富山・T社】

A

職場で有害物ばく露なら 基礎疾患悪化した場合も

 業務上災害の場合と同様に、業務上疾病においても「業務遂行性」と「業務起因性」が認められることが必要です。

 当該疾病と業務との関連について、ばく露期間、発症の条件等を厚生労働省労働基準局長が行政通達の形で示したものが「認定基準」と呼ばれるものです。認定基準を満たしている疾病については、原則として業務上疾病として取り扱われますが、労基法別表第1の2に定められた疾病すべてに認定基準が示されているわけではありません。

 認定基準が示されていない疾病については、個々の事案について業務起因性の判断が行われることになります。

 「業務遂行性」と「業務起因性」の考え方は以下のとおりです。

1 業務上疾病における「業務遂行性」

 「業務遂行性」とは、「労働者が労働契約に基づいて…

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