メンタル不調予防が急務/千絵社会保険労務士事務所 山下 千絵

2016.10.30 【社労士プラザ】
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千絵社会保険労務士事務所
山下 千絵 氏

 平成28年6月、厚生労働省は、平成27年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について取りまとめたものになる。

 精神障害での請求件数は過去最多とされた平成26年度よりさらに増加し、請求・支給決定件数はともに脳・心臓疾患に比べ倍近くの件数となった。

 年齢別では請求・支給決定ともに40~49歳が最も多く、次いで30~39歳。最多理由は「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」とされ、仕事の質や量に加え、配置転換や転勤、昇進・昇給等の出世を含む異動における「役割の変化」が過剰なストレスとなる場合があることが示された。企業には、業務命令であっても思慮深い対応が求められていると感じる。

 次いで、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」と続いている。職場におけるメンタルヘルスの問題には、時にハラスメント併存の可能性も指摘されることがある。「個」だけでなく、併せて職場環境全体を見渡す俯瞰力も求められているように感じる。

 情報が簡単に入手できる現代、主張する個人が増加したと捉えることもできるが、いずれにしても、労働力人口が減少し、高齢化が急速に進む現代において、精神障害での労災請求件数が引き続き増加傾向にあることは憂慮すべき状況である。

 かつて判例で示されていた「安全配慮義務」については、平成18年に「過重労働による脳・心臓疾患予防、メンタルヘルス対策のための医師の面接指導」が導入され、平成20年に労働契約法に義務として明文化された。メンタルヘルス対策もその中に含まれ、昨年からストレスチェックも義務化(50人以上)された。

 企業から「何から手をつけて良いか分からない」という声も伺うが、制度導入や医師の面接指導後の必要な措置等に社労士がお役立ちできるのではないかと思う。

 労災請求が脳・心臓疾患から精神障害メインになり変わりつつある今だからこそ、役員、産業保健スタッフや人事などの企業内ネットワークを再構築し、外部専門家とも連携しつつメンタルヘルス不調の予防を考えてみてはいかがだろう。

千絵社会保険労務士事務所 山下 千絵【広島】

【公式Webサイトはこちら】
http://c-shogainenkin.com/

ジャンル:
    平成28年10月24日第3085号10面 掲載

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