【主張】監督行政は是正指導を見直そう

2012.05.14 【社説】
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 本紙4月23日号3面に珍しい記事が掲載された。要約すると「解雇予告手当の支払いを労働基準監督署から命じられたがこれに応じず、出頭命令にも従わなかった代表取締役会長が、労基署に逮捕され、地検に身柄送致された」というもの。

 一般の認識は監督官に逮捕する権限があるのか、といった程度だが、労働基準法第101条第1項には「立入調査し尋問する」権利を認め、第102条では「監督官は刑事訴訟法に基づく司法警察官の職務を行う」と規定されている。警察官とまったく同等の権限を持っているのだが、約25万人に上る警察官に比べて3000人の監督官では、法違反の事実を発見するのがなかなか困難なため、話題に上ることも少ない。また、司法処理基準も「労働基準監督機関は法に定める最低の労働条件の履行確保を図ることを使命とするのであるから、臨検監督等によって発見した法違反については直ちに制裁的措置をとらず、まず、使用者等に対し違反の事実を認識させ、一定期間内に(事案によっては即時に)是正するよう勧告し、かつ将来再び法違反を生じせしめないよう監督指導することを原則としている」。「しかしながら、重大な法違反、度重なる法違反あるいは明らかに故意に行われた法違反等については、もはや行政措置に留めるべきではなく、直ちに司法的制裁を加えなければならない」ともいう。

 是正勧告に従わない場合は、司法処分となるが、平成22年に労基法違反で地検に送致されたものは580件。うち、公表されてはいないがA監督官の実感では公訴に至ったものは1割にも満たない。ましてや身柄拘束などは皆無に近く、今回の逮捕はよほど悪質だったようだ。ちなみに労基署には留置場がないが、所轄の警察署に留置されるから、甘くみてはいけない。

 労働基準行政に望みたいのは、是正指導など生ぬるい方法は早々に断念し、警察官と同等の権限を持つ監督官本来の姿をもっとアピールしてくれ、ということだ。いっせい監督や定期監督の度に違反件数が6割に上ると報道するのはもう勘弁して欲しい。

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平成24年5月14日第2872号2面 掲載

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