私傷病での休職を理由に雇止めされたことをめぐる助言・指導事例

2016.07.10 【助言・指導 あっせん好事例集】
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雇止め

申出の概要

 申出人X(労働者)は1年単位の有期契約社員としてY社(被申出人)に入社し、精密機械の組立加工を行う部署に配属された。入社して5年ほど経過した頃、業務終了後に帰宅したところ自宅で倒れ、そのまま救急車で搬送された。脳出血と診断を受け、現在は医師の指示どおり休職している。

 休職していたところ会社に呼ばれ、次回の契約更新はしないと言われた。賃金や職種を変更しても構わないので今後の契約更新を望むとして助言・指導を申し出た。

紛争当事者の主張

申出人X(労働者)

 3月から脳出血により休職しており、休職中に契約期間が満了したが、契約は更新され、次期の契約期間は4月1日から3月31日までとなっていた。現在も医師の指示に基づき、月に数回は通院している。

 3月20日に会社へ呼ばれ、「いつ職場復帰できるかわからないため雇止めする。理由は就業規則第25条に記載してあるとおりだ。退職後は健康保険から傷病手当金の支払いがあり、病気が完治したら再度雇用するので連絡してほしい」と言われた。完治後に再雇用するという話は信用できず、傷病手当金がいくら支払われるのか説明もない。賃金や職種などの労働条件を変更しても構わないので、契約更新を希望する。

被申出人Y(事業主)

 Xは以前から病院に行くとの理由で休むことが多く、3月から休職している。病院へ通っているのであれば診断書を提出するように指示していたが、一度も提出がないため本当に通院しているかわからず、病気を治す意思があるのか疑わしい。また、傷病手当金支給申請に係る関係資料を提出するよう指示しているが提出がないため、手続ができない。雇止めは休職の状況と今後の人員配置の観点から本社及び関連会社と相談し判断した結果である。再度本社と協議するが、短期間で契約期間を設定し、更新していくことは可能かもしれない。

 協議した結果、当初どおり打ち切る場合には、今後の生活もあるため、今は病気を治すことが重要であると考えている。回復後に連絡をいただければ、優先的に採用を検討したい。Xは、リーダーシップを発揮するキャラクターであり、業務を熟知しており技術もある。会社としても新規に教育する必要がないため、再雇用は真実の言葉として受け取ってほしい。

助言・指導の内容

 被申出人Yに対しては、雇止めの基準により、契約更新せずに雇止めする場合には少なくとも30日前までには雇止めの予告をする必要があるが、これがなされていないことを説明し、併せて、契約期間についてもできる限り長期とすることを前提に本社と協議し、再度当事者間で話し合うよう助言した。

 なお、申出人Xに対しては今までどおり1年単位の契約更新を望むのであれば、話し合いのときに主張し、診断書や傷病手当金申請の必要書類は会社に確認して提出するよう伝えた。

結 果

 当事者間で話し合った結果、雇止めは撤回され、4月1日から3カ月ごとの契約更新することとなった。また、最低月1回は会社へ行き面接を行い、医師の診断書等の関係書類を提出するということとなり、いずれは元の1年契約に戻れるよう双方努力することとなった。


 会社の「回復後連絡があれば再雇用する」という言葉を申出人Xが信じられなくなりトラブルになった事案である。被申出人Yは雇止めの基準に従った手続をしていない点を説明し、双方に譲るべき部分を指摘したところ、雇止めを撤回することで合意に至った。


※この記事は弊社刊「都道府県労働局による 助言・指導 あっせん好事例集―職場のトラブルはどう解決されたのか」(平成24年3月30日発行)から一部抜粋したものです。

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