労働問題に悩む中小企業経営者/弁護士 片野田志朗

2016.03.19 【弁護士による労務エッセー】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 1つは、労働問題については、労働基準監督署、都道府県労働局、合同労組等の外部機関による労働者側の相談窓口がいくつか用意されており、突然、これらの機関等を通じての対応を余儀なくされるおそれがあることです。

 労働者側からすれば、権利行使を実質的に保障させる重要な制度ではありますが、使用者側からすれば、上記機関等との折衝に巻き込まれること自体が様々なリスクを負うことになります。

 ことに労基法等違反が問題となれば行政指導や刑事上の罰則にまで繋がりうるので、より慎重な対応を強いられ厄介です(ちなみに、平成27年5月18日に厚労省から発表された違法な長時間労働をした企業の企業名公表制度については、中小企業はその対象から外されています)。

 もう1つは、労働問題は、対外的な業務に関する問題とは違い、身内である従業員・元従業員を相手にしなければならないことです。

 ブラック企業張りの長時間サービス残業や明らかなハラスメントなどは論外ですが、経営者が下した経営上必要な英断(整理解雇、配転命令など)に対して異議を出されたり、横領などの不正行為が発覚したときの懲戒処分の検討などは精神的に堪えるようです。

 中小企業は大企業と異なり、一般的に経営者側と従業員間の人的関係も濃密です。そこには、単なる経済合理性や法律が予定する労使関係を超えた、非合理的な人間感情(裏切られた気持ちなど)も複雑に絡み合っているからでないかと推測されます。

関連キーワード:

    あわせて読みたい

    ページトップ
     

    ご利用いただけない機能です


    ご利用いただけません。