【主張】首相の上場企業女性役員論とは

2013.06.10 【社説】
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 安倍首相が全上場企業に対し、女性役員の登用を呼び掛けている。これに呼応する企業もぼつぼつながら出てきているようだ。日本を代表する日立製作所もその1つで、2015年度までに女性役員を登用する方針を固めた、と報道されている。

 いうまでもなく株式市場への上場は、株を市場に開放して、民間から資金を仰ぐことである。上場企業は、その資金を活用して、収益を上げ、株主に配当をし、増資の恩典で報いることが当然の義務である。いくら首相の音頭取りとはいえ、その結論に至るまでには、慎重な論議が交わされたことだろう。学術・芸術部門では、男性を凌駕する才媛は枚挙に暇が無いほどいらっしゃるし、立法・行政・司法の各界も同様である。ただ、経済界では、著名な評論家は存在しても、有力上場企業で、これまで代表にまで上り詰めた方はホンの一握りに過ぎないのではなかろうか。

 上場企業の役員ともなれば代表権を持つ男性と同じく、企業運営に瑕疵が出れば、株主から「善良なる管理者の注意義務」を問われ、損害賠償責任を負う事態もあり得る。

 部長や課長といった管理職なら「頭数」を揃えれば、女性社員活用のリーディングケースとして持て囃され、ご同慶の至りである。しかしながら、上場企業の役員は、単に代表者から業務の一部を委任されただけでなく、全体責任の一環を担っていかなければならない。女性の地位向上や社会進出とは次元が違う。

 男女平等とはいっても、スポーツ界で男性を超える世界記録保持者はいないし、プロリーグでもしかり、学術分野の最高峰ノーベル賞受賞者も男性773人に対し、女性40人。ただ、彼らを産み、世に出したのは紛れもなく女性であり、男性がこの役割を担うことはあり得ない。折しも6月は第27回雇用均等月間だが、女性役員の登用によって、企業責任が果たせたというのは、筋違いと思う。安倍首相は、女性力の活用に発破をかけたのだろうが、もしも受け狙いで発言したのなら、小欄のようなひねくれ者は、自ずと限界があることをご承知かと問い質すかも。

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平成25年6月10日第2924号2面 掲載

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