石綿作業主任者を選任しなかった解体工事業者を送検 「選任した」と虚偽報告も 熊本労基署

2017.04.26 【送検記事】

 熊本労働基準監督署は、石綿作業主任者を選任せずに解体工事を行ったとして、㈱下出工業(広島県広島市)と同社現場代理人を労働安全衛生法第14条(作業主任者)違反の疑いで熊本地検に書類送検した。加えて、選任したと虚偽報告をしていたことから、同法第91条(労働基準監督官の権限)にも違反していた。

 平成28年12月、同社は熊本県益城郡で木造家屋の解体工事を行っていたものの、石綿作業主任者を選任していなかった。同労基署の監督指導により発覚した。なお、散水やマスクなどによる対策は行っていた。

 是正勧告書で指導し、後日報告を受けたものの、下請の者を選任したという内容だったため、同社労働者に資格を取らせるよう再度指導。後に「有資格者を直接雇用した」という申し立てがあったが、報告にあった者と同一人物で転籍の事実もなかったことから、虚偽報告が明らかになった。

 同労基署は、是正するまで解体作業を停止するよう指示した。しかし、同社は無視して解体作業を実施したため、書類送検に至った。

 石綿作業主任者を選任せず、さらに虚偽報告まで行った理由として、同社は、「作業が止まることで、機材のリース料が無駄になったり、休業手当といったコストが発生するのを避けたかった」と述べている。

 同労基署によると、同県の震災以後、監督指導の徹底や講習機関の講習回数拡大などで、作業主任者の選任義務や規格に適合したマスクの着用などに対する管内事業場の意識は向上しつつあるという。また、同労基署に加え熊本労働局でも、解体工事に関する業界団体などに対し、要請文などを交付し対策を呼び掛けている。

 一方で、「管理責任者は危険性を理解していても、作業員レベルまで浸透していない現場が少なくない。外部から来る作業員が多いことなどが原因と考えられ、管理責任者による教育が重要」(同労基署)としている。

【平成29年3月21日送検】

あわせて読みたい

ページトップ