【ひのみやぐら】エラーを呼ぶ「思い込み」

2021.10.12 【社説】
  • TL
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 「このくらいでいいだろう」「いつも作業しているから分かるはずだ」――。現場で作業する際に「~だろう」「はずだ」という言葉に取り憑かれて指示・指導をしてはいないだろうか。管理・監督者が起こしてしまいそうな、いかにもありがちなヒューマンエラーだ。「それぐらいはできるだろう」「注意したはず」「教えたはず」というのは、本人の思い込みにほかならない。

 教えた、伝えたつもりでも、相手の受け止め方やその場の状況によって、一方通行のままで終わっていることは珍しくはない。一例を挙げると「上げる」と指示したところ「下げる」動作をしてしまうことがある。「あ」と「さ」の母音が同じなので混同しやすく、発声の強弱や周囲の雑音で聞き取りづらいと、まるで逆の動きをとってしまう。「上げる作業だと分かっているだろう」「上げるといったはずだ」と思い込んで、言い間違いや聞き間違いの可能性を考慮しないと予想外の災害につながることもある。「相手は分かっている」と決めつけずに、念を入れた注意、確認が必要だ。

 指示・伝達時のヒューマンエラーを防ぐには言葉の復唱、指差し呼称、相互注意などが対策として挙げられる。また、管理・監督者は自分の経験に固着し過ぎないように配慮したい。状況を白紙にして一から考える習慣を付けたり、いつもと同じ方法でも状況によって再考することがエラー防止につながる。

 指示を受け取る側も、耳の錯覚は人間であればよくあるので、復唱や文書で確認すると良いだろう。さらに作業標準書をきちんと整備して、読み込んでおくことが有効といえる。作業手順書があることで、万が一曖昧なまま指示を受け取ってしまったとしても、確認することができるからだ。このため、作業標準書には「やや」「少々」といった抽象的な表現は使用すべきではない。許容される範囲を具体的に数字で示す必要がある。

 管理・監督者に限らず作業に熟知していくと、思い込みによるヒューマンエラーを起こしやすい。肝心な場面では一呼吸おいてから行動に移るように心がけたい。

関連キーワード:
2021年10月15日第2388号 掲載

あわせて読みたい

ページトップ


ご利用いただけません。